北朝鮮の「経済特区」、羅先が観光開発に注力。日本人向けのSL乗車ツアーも

中野鷹
 外貨枯渇が懸念される北朝鮮。そのため、外貨獲得を目指して2019年観光業に力を入れているが、その筆頭格が北朝鮮東北部にある羅先(ラジン)だ。  羅先は特別市となっており、今も制裁継続の裏で中国やロシアの資本が多く入り続けているとされる。

中ロ資本が入る「経済特区」、羅先

 カジノ完備のエンペラーホテルは、香港資本のホテルだし、羅津港は中国やロシアが整備し、中国は一部埠頭の50年間の租借権を獲得したとされていたが、両国を誘致したとされる張成沢が処刑されたため現在、租借権については曖昧となっている。
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カジノもあるエンペラーホテル(Wikimedia Commons CC BY-SA 2.5)

 ロシアも負けじと、ロ朝国境のハサン駅から羅津港まで約50kmをロシアの車両が台車交換なしで直接乗り入れることができる4線軌条への工事を2013年秋に完了させている。  ちょうど1年前に羅先観光の目玉として北朝鮮からロシアへの国際列車ツアーが始まったことをお伝えしたが(参照:”北朝鮮の対話路線転換で観光業も明るい兆し!? 新たな目玉は「ロシアへの国際列車ツアー」”HBOL)、今年は羅先自体が観光開発をしようと力を入れている。  羅先の観光会社によると昨年、羅先を訪れた外国人は500人ほどだったそうだ。日本人が北朝鮮に旅行客として滞在する場合は、「朝鮮国際旅行社(KITC)」という1社が現地で対応するのだが、羅先だけに滞在する場合は、KITCではなく、羅先国際旅行社というローカル旅行会社が担当する。旅行会社が異なるため、羅先旅行は、グループ割引や料金体系も異なっている。  羅先国際旅行社によると、今年は、温泉施設や射撃場などがオープンする予定とのことで、より外国人観光客を集客したいと意気込んでいる。

平壌ではありえない経験も

 今年3月に羅先を観光で訪れた日本人男性は、羅先は地方都市なので、市場や工場見学など首都平壌では観光客としては訪問が許可されないような場所へも行ける点が魅力だと話す。  また、羅先は特別市のため平壌とは制度が異なっている点がある。たとえば、羅先は直電で電話をかけることができる。  何のことだと思うかもしれないが、平壌を含む羅先以外の北朝鮮では、外国から電話をすると、まず平壌なら平壌市の電話交換手へつながる。その後、相手先を伝えて、交換手を介してつなげる仕組みとなっている(ちなみに、北朝鮮が電話交換手を利用しているのはインフラだけの問題だけではなく通話内容や話し手の監視などの目的もあるとも言われている)。  しかし、それが羅先では直接電話をかけることができるのだ。  他にも羅先は、観光用の査証(ビザ)も特別仕様になっている。平壌など羅先以外では、B7のパスポートサイズの青い査証用紙に顔写真がはられたものをビザとして北の担当者から直接受け取る必要がある。  それが羅先では、印鑑が押されたPDFデータをメールで受け取りプリントアウトして持参すれば、そのままビザとなる。つまり、もし1人で参加した場合は、誰とも会うことなく中国出国、北朝鮮入国ができてしまう。北朝鮮側のガイドは、北のイミグレーション通過後の合流となるため、たった1人だけで中朝を越境できてしまうという体験は羅先ツアーでしかできない。  興味深いのは、羅先とその他エリアとは入国基準が異なるようで、平壌観光で入国を拒否された人でも羅先ならOKとなったという事例も耳にする。
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