“女性活躍推進”は女性を幸せにするのか? 大手日系企業で抱いた違和感

汐凪ひかり
「これからは女性活躍の時代だからねぇ」  男性の上司に言われ、一応作り笑顔をするも、心の中ではため息をつく。現代社会において、そんな女性が多く存在していると感じる。  私もその一人だった。日系大手金融機関で、総合職として数年間勤務した経験から、世の中の”女性活躍推進”の動きと、その主人公であるはずの女性の受け止め方に大きなズレがあることを強く感じた。  政府が目指す“女性活躍推進”を追求した結果、女性は本当に幸せになれるのか? これは女性だけの問題ではない。社会全体の問題として、性別も年齢も問わず全員が考えるきっかけの一助としてほしい。

女性の部下をもったことがない、男性上司

 入社したときから、「ここで女性が総合職として働くことは、普通じゃないんだ」と感じた。100名超の総合職の新入社員のうち、女性はわずか10人程度。部署に配属されてからも、「おぉ~ついに女の子がきたかぁ!」と迎え入れられる。男性上司との面談では「俺、女性の部下を持つのが初めてなんだよね。何かあったら言ってね」と言われた。何かあったら、というのは何なのだろう。  私が在籍していた会社は、歴史ある、いわゆる“大企業”といわれるような会社であったが、総合職として入社する女性が少ないことに加えて、結婚・育児や配偶者の転勤などの理由や、男性社会である職場に耐えかねて心身を崩したなどの理由により、女性の退社が相次いでいた。そのため、上司として女性に接する機会をもつ男性社員は、多くなかった。  男性上司との面談で身上面の変化について聞かれる際には、「言いたくなかったらいいんだけど……」「これはセクハラでもなんでもなくて……け、結婚の予定とかあるんだっけ……?」と、不要な前置きがついてくる。女性の部下、というものがいかに珍しく、自分の存在がマイノリティであるかという事実が突きつけられる。

社会に出て初めて突きつけられる、「自分が女性である」ということ

 現代の日本において、女性が男性と同等な教育を受けることは当たり前となっている。男性と同等の教育を受け、同じように勉学やスポーツに励み、女性が高等教育を受けることも一般的になってきている(昨年発覚した医学部不正入試問題では、医学業界では男女で教育機会が平等に与えられていないことが明らかになったが)。  それなのに、就職活動等で社会と接することになると、突然「自分が女性である」ということを突きつけられる。それまで差別されることはなかったのに、だ。  就職活動の面接では「結婚しても働き続けます」と必ず答えるべきだ、という噂が蔓延する。男性なら聞かれるはずもない質問に、内定をもらうためだけの対策をする。実際には働いたこともなければ、結婚するかどうかなんてわからないのに、ナンセンスなやり取りである。そう思っていても、内定が欲しいから、言うのである。「結婚しても働き続けたいです」「女性が長く働ける会社だと聞き、御社を志望しています」。
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「私の母が、もっと旦那さんの面倒をしっかりみなさい、って言うんです」
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