句点や読点で視線を下に外すことに慣れてきて、あまり意識しなくても繰り出せるようになってくると、言葉に動作が乗りやすくなってくる。視線を下に外すという動作とともに両手を合わせてみたり、視線を戻すときに合わせた両手を広げたり、視線を下に外してできる間で、1歩、2歩と相手に近づいたり、戻ったりする。
複数のメンバーに話しかけるときや、大勢の前でプレゼンするときには、そのなかの一人に対してワンセンテンス話したあと、句点や読点の間で別な人に対して視線を合わせる、そしてまた、一人に対してワンセンテンス話すということにも活用できる。そうすることで、大勢の聞き手に対して、まんべんなく視線を繰り出しながら、キーになる人に対してうなずきのアイコンタクトをして引きつけることができるのだ。
ビル・ゲイツやハーバード白熱教室でも紹介されたマイケル・サンデル教授が繰り出す、歩き回りながら聞き手を引きつける手法の原点は、下に外すアイコンタクトにある。
句読点で視線を外して、間をつくるといっても、いったいどの方向へ視線をはずしたらよいのでしょうか? いったい、ビジネスパーソンの人たちは、どの方向へ視線を外しているのでしょうか? 視線を外す方向にも、よい方向、悪い方向があるのでしょうか?
回答:視線を下に外すと相手を巻き込みやすい
日本のビジネスパーソンに、視線を外す方向によってどのような印象を受けるか聞いてみました。視線を上に外すと「何か思い出しながら話しているようだ」、斜め上は「時計や窓の外を気にしているようだ」、横は「相手を否定しているようだ」、斜め下は「自信がなさそうだ」という答えが返ってきます。
視線を下に外すと、「うなずきながら話しているようで、巻き込まれやすい」と思う人が多いのです。視線を下に外すことをオススメします。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第131回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある