筋肉増強牛や真鯛、籾数増加イネ……「ゲノム編集食品」の多くが未表示のまま市場に出回る可能性浮上

上林裕子

「安全性が確立されていない」。規制と表示を求める声

 ゲノム編集技術は、狙ったところの遺伝子を正確に切断でき、そこに外部の遺伝子を挿入することもできるなど、従来の遺伝子組み換え技術に比べて確実な技術であるとも言えるが、標的以外の遺伝子に変異を引き起こす「オフターゲット」現象やアレルギーの問題も指摘されている。  オフターゲット現象については、厚労省の報告書でも「全ゲノム配列におけるオフターゲットを完全に解析することは、(精緻な情報が存在しない生物種が多いこと等により)困難である」としていて、規制の対象外になったゲノム編集応用食品に対して「オフターゲットによるDNAの変化等」を届け出るよう求めている。  一方、消費者側は遺伝子の二重らせんのどこを切断したらどんな場所にオフターゲットが起きるのかが全く分かっていない状況のまま、ゲノム編集食品が表示もなしに市場に出回ることを危惧している。  日本消費者連盟、食の安全・監視市民委員会など3団体は「ゲノム編集技術は安全性が確立されていない。環境と人の健康に影響を及ぼさないよう、審査・規制すべき」「消費者の選択権を保証するために表示を求める」との意見書を提出した。  全国消費者団体連絡会は、規制の対象にならなかったゲノム編集食品の届け出制度について「実効性を担保するためには任意ではなく義務化を」と要望している。  規制の問題はそのまま表示につながる。遺伝子組み換え食品については不十分ながらも表示制度があり、その対象となりうる。しかし、今回規制を外れたゲノム編集食品は表示の対象とならず、消費者が気づかぬうちに市場に広がっていくことになる。 <取材・文/上林裕子>
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