パチンコの新台入替自粛が、業界に与える影響とは?

安達夕

入替自粛によるホールとユーザーへの影響

 昨今の依存問題対策の一環として、パチンコホールの広告宣伝が厳しく規制されている現状で、唯一といっても過言ではない行政公認の集客イベントである新台入替が出来なくなれば、パチンコホールにとっては痛手ではないのか?  新台を大量に購入し、集客を図り、売上を上げるというパワー営業を信条とする、資金力がある大手ホールにとってこの「入替自粛」は望むものではない。  一方で、資金力や競争力が乏しく新台購入もままならない中小ホールにとっては、「入替自粛」は願ったり叶ったりの施策でもある。  遊技機1台の価格が40万~50万もする時代。新台購入費ばかりではない。前述の申請を行うためにも諸々の費用も掛かれば、新台入替を告知するための販促費だってばかにならない。  競合店が新台入替を行えば客は流動する。その客を囲い込んだり、呼び戻したりするためには、多少無理しても新台入替を行わなくてはならない。入替自粛が決議された地域の、そんなジリ貧営業の中小ホールのオーナー達はホッと一息ついているのではないか。  新しいものを好み、新台ばかり遊技しているユーザーにとってはつまらない期間かも知れないが、そんなユーザーはほぼいない。勿論、「新台特需」なるものを期待しているユーザーは多少いるかも知れないが、最近ではホールも減価償却を優先的に考えるので、よほど初期稼働の良い遊技機でなければ、ユーザーは特需も見込めない。  結論を言えば、ユーザーにとって「入替自粛」は、プラスに作用する事はあっても、マイナスに作用する事はないだろう。  全国にまだ1万店舗もある業界である。すべての店舗がそうだとは言い難いが、少なくとも良心的な店舗においては、浮いた新台購入費用や販促費を或る程度はユーザーに還元しようと考えるものである。もちろん、浮いた金額はすべてプールしようとするホールもあるだろうが、それでもプラスに作用しないという話であって、わざわざ通常営業時以上にユーザーに負担を強いる事はないだろう。 「入替自粛」期間は、ユーザーの流動性が著しく落ち込む時期でもある。この期間に少しでも自店の固定客(常連客)を作ろうとするのが、パチンコホールとて商売、その機微を知らぬはずはない。

入替自粛はパチンコ業界が抱える問題の先送り?

 G20大阪サミットの開催にあたり、今までの国際イベントの際には全面的に協力をしていた全日遊連が、今回に限り「入替自粛はしない」と明言したのには、それなりの理由があると思っている。  その理由とは、一昨年より全日遊連が推し進めている、高射幸性パチスロ機の段階的撤去の問題があるから。  これは、パチスロメーカーが射幸性が高いと判断した遊技機を段階的に撤去していこうとするパチンコ業界の自主規制であり、本来であれば、2019年1月末までに設置比率を15%以下にまで引き下げるとしていたが、遊技機規則改正に伴う新規則機の市場投入が遅々として進まない中で、当面この目標値の達成期限は延期された状態にある。  その上で、本来の撤去期限に沿うのであれば、2020年1月末までには5%にまで引き下げなくてはならない。昨今の依存問題に対する世間の関心度の高さと、パチンコ業界に対する風当たりの強さを鑑みれば、この2020年1月末5%の必達は業界の至上命題であるはず。  しかし、今回のように国際イベント毎に入替自粛をしていたのでは、ホールは、高射幸性パチスロ機の計画的な撤去も出来ないばかりか、期限が迫ってきたタイミングで、多台数の入替を行わざる得ない状況に陥る可能性もある。  しかも今年の年末には、ハーデスやバジリスク絆、まどマギ、モンスターハンター月下雷鳴などの、ホール営業の主力機でもある、高射幸性パチスロ機の、そもそもの設置期限も迎えてしまうのだ。その事を十分に知っているから、パチンコホールの全国組織でもある全日遊連は「全国一斉号令」を掛けなかった。筆者はそう思っている。  パチンコ業界における「入替自粛」が、業界自らが取り決めた撤去期限を更に引き延ばすための口実や、閉店廃業覚悟の無用な延命措置にならなければ良いのだが……。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
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