マドリードの北朝鮮大使館襲撃は反金正恩派の犯行。CIAやFBIとの関係も

大使館商務担当と面識があった犯行グループ

 ホング・チャングは襲撃する前にマドリード市内で戦闘用のナイフ4丁、H&Kの銃を真似た偽装銃6丁、射撃用メガネ4つ、戦術懐中電灯5個、足枷5個、汗除け1着などを買い求めたという。先述の2人を含め4人が20-22日の間に金物屋で襲撃に必要なものを購入したことも明らかになっている。参照:「El Confidencial」)  更に捜査から、彼らが22日に同大使館に侵入するのに使った手段というのが明らかにされた。当日、16時34分にホング・チャングが大使館のブザーを押して商務担当のユン・ソク・ソー(Yun Sok So)に面会を求めた。ホング・チャングは企業家だということでユン・ソク・ソーと以前より面識をもっていたという。面会の目的は北朝鮮への投資だとした。(参照:「El Pais」)  彼が館内に入る時に職員の注意が散漫になっていた隙間に他のメンバーが館内に侵入して外交官と職員を恐喝して暴行を振るって彼らを拘束した。が、その隙間をぬって女性職員のひとりが逃げ出して大声で助けを求めたのであった。  通報を受けて、国家警察が同大使館のブザーを押して中に入って事情を聴衆しようとした際に、応対に出たのが捜査の結果、ホング・チャングであったということも明らかになっている。ホング・チャングから「何も問題がない」という回答であったが、警察は大使館の見張りを始めた。それから数分して、大使館プレートの2台の車がスピードを上げて飛び出した。ところが捜査を進めて行く段階で明らかになったのは、ホング・チャングともうひとりは大使館の裏側から運転手付きの車をオズワルド・トランプ(Oswaldo Trump)という偽名を使って手配していたのであった。その車が迎えに来た時に、それに乗車して遁走したのである。その時、警察のパトカーは大使館の前だけ監視して、裏は監視していなかったのである。

犯行後はアメリカに。FBIと接触

 その足で、トレドに向かった。それからホング・チャングはリスボン経由で米国に向かいニュージャージー州のニューアーク市の空港に到着。その5日後に先述したようにFBIと接触したのである。  北朝鮮大使館が襲撃された5日後にトランプ大統領と金正恩委員長の2回目の会談が行われたのであるが、専門家の間では同大使館で強奪したコンピュータなどから貴重な情報を手に入れたと思われている。特に、国外退去を命ぜられたキム・ヒョク・チョル(Kim Hyok Chol)大使は金正恩に信頼されている側近のひとりとされており、米国からの制裁を回避する手段やヨーロッパからの高級品の輸入についての情報がコンピューターにインプットされていたものと想像されている。これらの件はキム・ヒョク・チョルが担当していたと推察されている。(参照:「El Confidencial」)  スペインに在住の北朝鮮人は大使館勤務の職員とその家族、そして数名がマドリードの大学で修学しているだけだとされている。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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