中身のカラクリはどうであれ、法律によって広告宣伝が厳しく規制されているパチンコ業界が、それでも集客が図れる「取材系イベント」を、自らが禁ずるのはなぜなのか。
その第一の理由は、昨今の
ギャンブル等依存症対策の趣旨を慮っての事であることは間違いない。
パチンコ業界は数年来、この依存問題と真摯に向き合ってきた。時には、業界全体の売上を下げたり、ファンを失ったりするかも知れないリスクを負った施策も、身を削って実施してきた。そのようななかで、むやみに客の射幸心を煽るような広告宣伝手法は、依存対策を推進するパチンコ業界にとって、ある種の「相反行為」でもある。
依存対策第一を謳うパチンコ業界にとって、このような宣伝行為は目の上のたんこぶも同じだ。
また一方、行き過ぎた取材系イベントは、間違いなく警察行政からも厳しく指導される。仮に
警察行政から厳しく指摘された場合、今時点で許されている広告宣伝の範囲が更に制限される可能性もある。
そのような事態を避けたい業界としては、自主規制という先手を打ったという側面もある。自らが、自らの宣伝手段を規制するという苦渋の決断もやむなしと言ったところだろう。
この取材系イベントについて、ホール現場の声は、業界全体のそれとはちょっと違う。何人かのホール店長らに話を聞いてみたが、この取材系イベントについて「推進派」、「反対派」の意見はそれぞれだ。
「推進派」の意見は主に、取材系イベントを実施する事によって、大きな集客を図れるという事。
パチスロの高設定台などで相応の出玉を放出するので、自店の利益は削る事になるが、それでもホールが賑わい、お客様が喜んでくれるのだから良いだろうというのがほとんどだ。
勿論、更なる思惑もある。曜日や日にちの規則性を持って取材系イベントを実施すれば、図らずも客はその特定の曜日や日付を、ホールが出玉で頑張る日という風に認識してくれる(パチンコ店は風営法により、「特定の日」や「特定の機種」を宣伝する事を禁じられている)。
すべては営業努力である、というのが「推進派」の意見。
一方、「反対派」の意見はどうか。