「総裁様」韓鶴子への忠誠を防衛副大臣と競う参院憲法審査会会長
柳本は来賓挨拶でこう述べた。
「本日は皆さま方とのご縁が一番深い関係ということで御挨拶をさせていただく次第でございます。多くの皆様はご存知だと思いますが今から55年前、早稲田大学に入学した時に原理研の皆さま方と一緒に平和運動家庭運動そして社会正義に基づく社会活動に共に活動した55年の同僚・同志でありまして、いわば今日ご出席の皆さま方はわたくしにとりましては親であり兄弟である皆さまばかりでございます。また、韓総裁様には今年の2月にも韓国に訪問させていただきまして親しくお言葉をいただきまして、多分国会議員の中でも10数度以上総裁様とお話しをさせてご挨拶をさせていただくのはわたくし以上の方は他に見当たらないだろうと自負をしている次第でもございます」
「現在、わたしくしは参議院の憲法審査会会長という天職をいただいています、憲法というのはどこの国でもそうでございますけれども、国のあり方、未来の方向性というのをきちっと示していかなければならないわけですけれども、何が大事かといえば愛を以って家庭を築いていくということ、これが一番であることであります。まさにその根本的な運動を総裁様始め、皆さま方が実践されているということでございます。(中略)幸い日本には宋会長様そして徳野会長様をはじめ多くの皆様方が立派にその志と行動を実践なされておりまして(中略)この日本から日韓トンネルもでき、(国際)ハイウェイもでき、シルクロードもでき、トルコを通りヨーロッパを通り、世界の国々が一つになって、平和な家庭が築けられるように、心から祈念を申し上げます」
故文鮮明教祖が提唱した荒唐無稽なプロジェクトである
日韓海底トンネルや国際ハイウェイを称賛し忠誠ぶりをアピールする柳本。韓鶴子への忠誠を“マザームーン”山本朋広防衛副大臣と競い合っているかのような様相だ。
これらの集会に出席した議員や秘書が代理出席した議員に質問書を送ったところ、
谷川とむの事務所からのみ「議員本人も秘書も出席していない」と回答があった。
自民党幹部が教団系ネット番組で“メインキャスター”
自民党本部の幹部と統一教会との関係を示す事例もある。
2017年11月から世界日報社が、動画配信サイト・YouTubeでViewpoint公式チャンネルとして
『パトリオットTV』なる番組の配信を始めた。この番組でメインキャスターを務めているのが
自民党政務調査会調査役(18年1月に離任)の肩書きを持つ著述家の田村重信だ。(第1回目のゲストは山本朋広らと統一教会の引率で渡米した
元自衛艦隊司令官の香田洋二)これは党として同教団に関わっているという構図に他ならないのではないか。
ホストを務める田村重信・自民党政務調査会調査役(当時・中央)(パトリオットTVより)
「与党筆頭理事」が2017衆院選で統一教会信者を運動員として登用か
そして山本朋広と同じく菅官房長官の忠実な“部下”とされる前述の衆院予算委員会筆頭理事にも更なる疑惑が浮上した。
与党筆頭理事として最前列に陣取り、質問に立つ野党議員へ野次を飛ばしていた菅原一秀議員が、10月の衆院選で統一教会の青年信者グループを運動員として使っていたというのだ。11月3日に勝共UNITEの改憲大会での2世信者への“激励”はこの人力派遣の見返りということになる。
なぜ菅原が統一教会と関係を持つに至ったのか。翌18年4月、長年菅原の秘書を務めた女性が練馬区議会議員選挙の補選に出馬、応援に入った菅原を数回に渡り直撃取材した。筆者の直撃を受けた衆院予算委与党筆頭理事の回答は矛盾だらけのものとなった。
そして「家庭教育支援法」「青少年健全育成基本法」をめぐる国際勝共連合の不穏な策動も顕在化した。次稿では2018年前半の動きを追う。
<鈴木エイト(やや日刊カルト新聞主筆)・Twitter ID:
@cult_and_fraud>
すずきえいと●滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『
徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)