官邸vs.ジャーナリズム――多くの記者たちが異例のデモ参加、問われるメディアのあり方

「会見は、国民の知る権利のための場なのです」

首相官邸前

「私たちの知る権利を守る3.14首相官邸前行動」に参加する人々。その多くがメディア関係者だった

 前出のMICは14日のデモの中での声明で、“記者の質問内容にまで政府見解の枠をはめようとする首相官邸の行為は、「取材の自由」や全ての市民の「知る権利」を奪うものであり、断じて容認することはできません”と批判。“首相官邸および閣議決定に署名した各閣僚に対し、厳重に抗議し、撤回を求めます”と要求した。  14日のデモでは望月記者本人もマイクを握り、「沖縄県知事選でデニー知事の圧勝も止まらない辺野古の強制的な埋め立て等、政府の沖縄県民の民意を無視する横暴を観るにつけ、これだけは聞かねば、民主主義が根底が覆えされようとしているという危機感から、私は会見に臨んでいます」と語った。  さらに「内閣官房記者会見が、政府にとって都合の良い広報の場となっていないでしょうか?」「会見は政府のものでもなく、メディアのものでもなく、国民の知る権利のための場なのです」と訴えた。

既得権益を持つ大手マスコミ側にも温度差が

 だが一方でメディアの中には、望月記者のことを快く思っていない者もいるようだ。今年2月21日付けの『神奈川新聞』の記事で田崎基記者は、同月18日夕方に加盟社へ配信された共同通信記事から、削除された部分について暴露した。  その削除部分とは、“メディア側はどう受け止めたのか。官邸記者クラブのある全国紙記者は「望月さん(東京新聞記者)が知る権利を行使すれば、クラブ側の知る権利が阻害される。官邸側が機嫌を損ね、取材に応じる機会が減っている」と困惑する”というものだった。  つまり、政治家と良好な関係を保ち、記者は情報をもらう。そうした癒着を示す記事の核心部分は、配信直後に共同通信から記事配信を受けている加盟社からの「記事内容が誤解を招く」との求めにより、削除されたのだという。  田崎記者は「マスコミ大手の人たちにも『望月記者への質問制限は、我々が取材しやすいとかしやすくないとは別の問題』と語る人も多い」とも語る。ただ、内閣官房記者会見で、多い時には1分半の間に7回と、上村秀紀・報道室長が望月記者の質問を遮ぎる中で、その場の他の記者たちが猛抗議するような場面は見られなかった。
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内閣官房記者会見からフリーランス記者をパージする仕組み
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