写真左側に着席している鈴木エイト氏を除いて、記者席は全員が日本母親連盟側のサクラ。会見終了後の拍手も全て彼らによるものだった
3月23日、東京・神保町の学士会館で、政治団体「日本母親連盟」による記者会見と政治資金パーティーが行われた。記者会見の取材に訪れたメディアは「やや日刊カルト新聞」(鈴木エイト主筆と藤倉善郎総裁=筆者)のみ。複数のメディアが同時に取材するのが通常の記者会見だが、この日は同紙による「独占取材」となった。
また会見後に開かれたパーティーには、事前に申し込み参加料金を入金していた筆者と鈴木氏に対して、日本母親連盟側が入場を拒否。当初、定員を400名としていたものの100人程度の申し込みしか集まらなかった政治資金パーティーは、取材者を入れずひっそりと開催された。
日本母親連盟については今年2月26日、参議院議員・山本太郎氏を招いた同連盟主催の講演会で、壇上の山本氏から同連盟の保守運動やニセ科学との関連性や共通点などを暴露され、幹部や会員たちが大混乱する騒ぎがあった。同連盟内ではこれを「226事件」と呼んでおり、今回の政治資金パーティーに関連して同連盟監事がFacebookで「いままで通り妨害があるかもしれませんが、粛々と進めてまいりたいと思います」などと投稿し、警戒していた。
日本母親連盟が「226事件」と呼ぶ騒動は、「
山本太郎氏、日本母親連盟を支持者の面前でぶった斬り!」として既報の通り。まずは、それ以降、今回の政治資金パーティーまでの流れを整理しておこう。
山本氏の講演会は、同連盟主催の講演会に招かれた山本議員が、「山本太郎の政治活動とは接点を持ちません」と語って、同連盟とともに選挙を戦う意思がないことを、その場で宣言したもの。
東日本大震災を米軍が核兵器によって発生させたかのように語る同連盟関係者の発言、
同連盟への支持を表明したホメオパシー業者の実態、
同連盟の関係者と日本会議の構成団体である倫理法人会とのつながり、同連盟のマニフェストと山本氏の考えとの相違や問題点等々を約20分にわたってスライドで指摘した。
2月26日、同団体の講演に立った山本太郎氏
山本氏から事前に通告されていなかった内容だったこともあって、同連盟の幹部や会員たちは大混乱。講演終了後に、同連盟の阪田浩子代表がステージ上でマイクを持って「補足説明」を行い、終了後には会場に残った会員たちが立ち話をしながら気を取り直そうと必死の様子だった。
この講演の様子を山本氏の関係者が「ツイキャス」でネット中継。その動画を他のユーザーがYouTubeに投稿し、講演2日後にハーバー・ビジネス・オンラインで筆者による講演リポートが掲載された。このリポートには、「やや日刊カルト新聞」の鈴木エイト主筆による代表への直撃インタビューも含まれていた。
これらがネット上注目されたことで、日本母親連盟側はさらに混乱する。
同連盟は公式サイトに〈日本母親連盟は他の政治団体、宗教団体とは一切関係ありません〉などとする声明文を掲載(参照:
日本母親連盟)。同連盟の幹事・内海聡氏は、Facebook上で
〈やや日刊カルト新聞も入ってきているので、計画的であり共同作業での組織潰しです〉と断定したほか、阪田代表に直撃インタビューした鈴木氏について、このように書いた。
〈「やや日刊カルト新聞のインチキライター。日本のマイナー組織潰しで必ず出てくる輩たち〉
講演についても、こう断定した。
〈完全なタッグ組んでヤラセでやってるからね。質問者も参加者も拍手もそう。打ち合わせ拒否のいわゆる講演テロ〉
講演会の参加者や、講演会での山本氏への拍手まで「サクラ」だったかのような話になってしまっている。
筆者と鈴木氏は、ともに「やや日刊カルト新聞」で活動する間柄で、山本氏の公演会も一緒に取材した。しかし筆者も鈴木氏も、講演での質問者が誰なのかは知らない。また講演前に山本太郎氏や事務所とは一切接触していない。山本氏の講演会後に秘書と名刺交換をしたのが、はじめての接触だ。筆者たちが山本氏側と共謀して報道した事実はない。
筆者たちは、YouTubeに講演の動画を投稿した人物が何者かも知らない。その人物はTwitterで、こう説明している。
〈(山本氏の関係者による)ツイキャスをキャプチャーしてましたがこんな面白くて痛快な動画なので速攻でアップしました。編集はしてなく事務所にも許可取ってない〉
ネット上で講演の内容を伝えた動きが山本氏側と連携していたとする証拠は一切示されず、むしろ全く無関係の動きであることを示す情報しかない。にもかかわらず
母親連盟幹部は、これを組織的謀略であるかのように会員たちにアナウンスした。有り体に言えば「デマゴーグ」だ。
やがて同連盟会員たちの間では、2月26日の山本氏講演会は「226」とか「226事件」と呼ばれるようになる。同連盟の3月8日付「本部メールマガジン<第9号>」には、こう書かれている。
〈226事件にはびっくりのマザリーメルマガ編集部でしたが、その後もバッシングが続く一方で、支援者も確実に増えています。フタッフ希望者、各地のイベントの申し込みも増えており、「太郎さん、宣伝してくれてありがとう!」と思っております〉
今年、新たな元号がスタートする。平成最後の「226事件」である。