沖縄基地問題の重要な参考人である玉城デニー知事を参考人として呼べない理由をまったく説明できない金子委員長に対して、山本太郎議員はその矛盾点を続けて指摘していく。そのやりとりを視覚化した結果がこちらだ。
山本太郎議員:
「NHKのテレビ入りで、沖縄の実情をデニー知事に話されると、官邸の、政権側の印象、立場が悪くなる。本当の反対理由、これじゃないですか、自民党。
参議院・自民党、官邸の下請け。そういう仕事じゃないですか?今やってるのは。私はそう思いますよ」
この発言は山本議員の持ち時間が始まって、まだ2分しか経っていない段階だが、議員たちが委員長席に集まり、速記が約40秒も止まる事態となる。開始間もないタイミングで、しかも閣僚に対する肝心の質問がまだ始まってもいない時点で速記が止まるのは珍しい。
(約40秒の中断を経て再開後)
金子委員長:
「
ただいまの、おー、
不穏当な言葉があるとの、えー、こと、
ご指摘がありましので、委員長と致しましては、後刻理事会において速記録を調査の上、適当な処置をとることと致します 」
(全面的に赤信号)
山本議員が「参議院・自民党は官邸の下請け」とやや刺激的な表現を使ったことを考慮しても、金子委員長は
自民党が参考人招致を拒否したことを棚に上げて「不穏当な言葉」と不公平に差配しており、赤信号と判定した。
当然ながら、野党からも一斉に抗議の声があがり、議場は騒然となる。(動画の2分55秒~)
山本議員はすぐさま「不穏当な言葉」という委員長の発言に反論する。
山本議員:
「いやいや、だって、玉城デニー知事を呼ばない理由がハッキリしないんですよ。合理的説明できてないじゃないですか。反対理由なんですか?政権に対して、これ打撃を与えたくない。デニーさんに本当のこと喋られたら困るという話以外、見つからないじゃないですか。だから官邸の下請けじゃないですか、ってことを言ってるんですよ。ここは立法府であり、行政を監視することも仕事です。行政監視の一環として、大きな問題を抱え、苦しみ続ける沖縄の皆さんに対して、基地問題当事者の代表、デニー知事にお話を伺い、少しでも解決に導こうとすることも立法府の仕事じゃないんですか。立法府にいながら、国民の代表でありながら、政権に忖度することが議員としての最優先課題ならば、それは自分のキャリアップや就職活動のための仕事でしかないじゃないですか。そんなことのために、沖縄の声を直接聞き、解決の糸口を探る機会を奪わないで頂きたい。再度、玉城デニー知事の参考人出席を求めます」
ちなみに不穏当という言葉を辞書で引くと、「おだやかでないこと。さしさわりがあって適切ではないこと」などと記されている。この意味を踏まえると、山本議員の発言に「不穏当」と思われる内容は見当たらない。強いていえば、政権にとって差し障りのある内容は含んでいるため、
政権にとって不穏当な言葉だと判断されたのであろう。玉城デニー知事の参考人招致反対に続いて、委員会運営においても徹底的に官邸の下請けとしての職責を全うしようとする金子原二郎委員長(参議院・長崎県選出)の一貫した姿勢が垣間見える。
冒頭の金子委員長とのやりとりは約4分間にも及んだが、ここからいよいよ安倍総理への質問に移っていく。