今年は大統領選挙の年である。再選を目指すマクリ大統領にとって事態は容易ではない。それ故に、経済政策において回復に必要な本来取るべき厳しい対処を票の欲しさから控える可能性もある。
特に、インフレを下降させることと、財政支出の削減が早急に必要である。しかし、アルゼンチンはラテンアメリカで労働組合の力が最も強い国である。インフレが上昇すれば、それにスライドして昇給を要求して来るのが組合側である。それを政府は無視するようになると彼らは容易にストを敢行する傾向にある。しかも彼らを無視すれば大統領になるための票が集まらない。全てが悪循環になっているのである。
だから、フォーブスが指摘しているようにアルゼンチンが経済破綻する可能性がないとは言えないのである。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身