「なぜポイ捨てするのか?」と聞かれることも多い……
3.ドライバーのマナー
昨今、トラックが煙たがられる理由としてよく聞かれるのが「ドライバーのマナーの悪さ」だ。
トラックドライバーのマナーに関する事情は、「
トラックが路上に停車して休憩する理由」や、「
ドライバーがハンドルに足を上げて休憩する理由」、「
休憩中エンジンを切らない理由」など、過去にも多く紹介してきたが、昨今これらと同じくらい指摘が多いのが「ポイ捨て」に関するマナー違反である。
「どうしてトラックドライバーはポイ捨てするのか」、「尿の入ったペットボトルを道に捨てるな」という声は、トラックの事情を書くたびに聞かれる。それほどまでに「ゴミのポイ捨て」イメージを強く持たれてしまうっているのが現実だ。
ただ、1つ強く言いたいのは、「トラックドライバー=マナーが悪い」というのは完全なる偏見だ。
筆者がこれまで見てきた限り、ほとんどのトラックドライバーは、ゴミ箱へゴミを捨てている。
それに、ポイ捨ては、なにもトラックドライバーだけの問題ではない。一般ドライバーの中にもタバコやコンビニ弁当の容器をポイ捨てする人は少なからず存在するため、トラックドライバーだからポイ捨てをするという考え方は、全く正しくない。
しかし、運転を生業にするトラックドライバーは、「道路上の車内」にいる時間が長くなる手前、車内にゴミが溜まりやすく、中央分離帯などにポイ捨てする環境や条件が一般ドライバーよりあるのも事実で、実際筆者も現役時代、ポイ捨てするトラックドライバーを目撃しては、注意して一触即発になりそうになったこともある。
時間に追われ、渋滞に長時間はまり、停まって休憩する駐車場さえなければ、ペットボトルに用を足す以外術のない状況に陥ることもあるだろうが、これを車外に放り出していいとする理由には全くならない。
先に挙げた過去記事のように、今まで多くのトラックの事情を紹介し、彼らが致し方なくマナー違反をする事情を取り上げてきたが、ゴミに対するマナー違反はトラックドライバー1人ひとりの意識で解消できる問題だ。
その点においては、物流・トラック業界が今一度、真剣に考えるべき問題だといえるだろう。
我々の身の周りのほぼ全ての荷物は、トラックによって運ばれている。国の血液と呼ばれる彼らが止まれば、日本の経済は1日待たずして立ち行かなくなる。
その存在が邪魔臭く感じるのはよく分かるが、「トラックなど要らぬ」などの言葉は、自給自足の生活をしていない以上、あまりにも無責任すぎる。互いが互いの環境を理解し合い、許容する心を持つのも道路環境改善には重要なことなのだ。
【橋本愛喜】
フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。