新たな切り札“再撤回カード”で法廷闘争に打って出る!?
1月16日に辺野古を視察、沖縄県庁で玉城デニー知事と面談をした野党国会議員。この時にも「埋立承認の再撤回」について謝花喜一郎副知事は「検討している」と話していた
この「新たな訴訟の提起」こそ、埋立承認の再撤回のことなのだ。そして玉城知事はこの記事が一部紹介した通り、外国人特派員協会で県民投票の意義をこう語っていた。
「普天間飛行場の辺野古移設に反対という民意は、過去2回の県知事選挙、翁長雄志知事の選挙、そして私の選挙など一連の選挙でも反対の民意は示されてまいりました。
しかし、日本政府首脳からは『選挙はさまざまな施策で候補の主張が行われた結果である』という発言もありました。そのため、沖縄県民の純粋な民意を示すためには一つの争点に絞って、つまり今回のような県民投票で県民の意思を問う、意思を示す必要があったわけです。
今回の辺野古埋立に絞った県民投票によって、辺野古埋立への反対、すなわち辺野古移設断念を求める県民の民意が初めて明らかになった。極めて重要な意義があるものと考えています」
玉城知事の描くシナリオが浮き彫りになっていく。県民投票結果を伝える首相面談で玉城知事は、日米両政府に沖縄県を加えた対話の場として「SACO with沖縄(SACWO)」を提案した。しかし安倍首相は「普天間飛行場の危険除去のために辺野古移設(埋立工事)を進める」と、従来通りの立場を繰り返すだけだった。
それでも玉城知事は、直後の外国人特派員協会での会見で「政府に対話を求めていく」と語った。しかし「対話路線を続けても安倍政権の埋立強行方針は変わらない」と沖縄県が判断した場合、新たな切り札である“再撤回カード”を出して法廷闘争に打って出る。こんな展開も予想されるのだ。
枝野幸男・立憲民主党代表も辺野古問題の全国展開に前向きだった。2月28日の会見で、埋立承認の再撤回、つまり辺野古基地建設中止が参院選の争点になるだろうかと筆者が聞くと、枝野代表はこう答えた。
「法律論としてはいろいろな側面、いろいろな見解があると思いますし、そもそも『現状も違法ではないか』という見方も有力な法的な考え方だと思います。
この問題はこれだけ明確な沖縄県民の民意、自民党支持層でも半分は反対に〇をつけて投票、しかも国政選挙並みに高い投票率が出ている。そうしたことを考えると、民主主義の基本的な立ち振る舞いとして『工事は止めるべきである』という法律論以前の問題だと私は思っています。
選挙の争点というのは、基本的には国民のみなさまが決めることだと思います。沖縄以外のみなさまが、自分の問題として受け止められるのかどうか。そこに向けて我々も努力もします」
沖縄県が今後、法廷闘争と政治的闘争の両面で安倍政権の方針転換を迫る動きをしていくことは間違いない。辺野古埋立をめぐる「安倍政権」対「沖縄県」のバトルから目が離せない。
<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた
『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他
『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数