米朝会談決裂の前兆は、両首脳の表情にあらわれていた!? カギは”過剰な優越感”

金委員長とトランプ大統領

photo by The White House via flickr (Public Domain)

 こんにちは。微表情研究者の清水建二です。本日は、2019年2月27日及び28日に行われた第二回米朝首脳会談で観られた交渉決裂の前兆を表情・動作分析から読み解きたいと思います。  結論から書きます。交渉決裂の前兆は、初日の会談・夕食会においてトランプ・金両首脳の優越感の微表情に現れていたと考えられます。  両氏の感情の流れを時系列に沿って分析します。  27日の分析では「【報ステ】米朝首脳会談始まる 初日は20分間(19/02/27)」を、  28日の分析では「Kim Jong Un makes history, takes question from US journalist」の動画を使用しました。以下の文章の括弧内はそれぞれの動画の秒数を現します。

27日会談午前中、融和のトランプ大統領、優越感の金委員長

 27日会談初日午前中において、トランプ大統領からは融和態度が、金委員長からは優越感が観られます。トランプ大統領と金委員長が握手する場面で(0:01:11)、トランプ大統領は自分の手のひらをやや上に向けて金委員長をやさしく包み込むようにしている様子が伺えます。  続く会談の場面では(0:01:59~)、終始、トランプ大統領は前傾姿勢になりつつ、金委員長の方へ胴と顔を向けています「あなたに関心を寄せています」「あなたに敬意を表しています」というシグナルだと考えられます。  トランプ大統領が前回のシンガポールでの米朝会談と比べつつ「今回はさらに良くなることを願っています」という場面で(0:03:28)、両肩を一瞬だけすくめます。これは「不確か」「自信のなさ」を意味する微動作です。 「今回、アメリカの要求を金委員長は受け入れてくれるだろうか」と少し、不安になっていた可能性が考えられます。  トランプ大統領が「あなたの国は経済的に大きな可能性を秘めています」と北朝鮮及び金委員長に賛辞を述べる場面で(0:03:45)、金委員長の下唇が引き上げられ、感情が抑制されます  それに続いて、右の口角が引き上げられ、優越感が現れ、左の口角がそれに続き、幸福感情が現れます。  賛辞を受けている場面では、このように段階的ではなくはじめから幸福表情が現れるのが普通だと考えられますが、一旦感情が抑制され、優越感が挟まれ、幸福が生じたという流れから、トランプ大統領の言葉から「今回の交渉で自国への制裁解除及び経済支援が実現できるという強い期待やそれが出来るという優越感を自分が抱いていること」を面に出してよいのか一瞬ためらわれたのだと考えられます。  まとめますと、この27日午前中の段階で、トランプ大統領は今回の交渉の行く末に不安を抱き、ゆえに融和姿勢を示し、金委員長は交渉が自国に有利なように収まると考え、優越感を抱いていたのではないかと考えられます。  27日会談初日午後の夕食会の場面では、両氏の感情の流れが変わります。  金委員長はさらに自信を抱き、トランプ大統領も自信を抱き始めている様子が伺えます(0:05:28~)。 金委員長が「私たちは30分の時間でとても興味深い話をたくさんしました。」と述べながら、満面の笑みを浮かべます。 記者からの「興味深い対話はできたか」という質問に、トランプ大統領は「とてもよかった。」と述べながら、左の口角を引き上げます。優越感や自信の表情です。27日午前の会談中あるいはこの午後の夕食会の間に、金委員長にとってもトランプ大統領にとっても、交渉が自国に有利なように進むという自信を抱く何らかの過程があったのだと考えられます。
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何がトランプ大統領の様子を変えたのか?
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