マリオットホテルで開かれたトランプ大統領の会見をメディアセンターのスクリーンで取材する記者たち
米ホワイトハウスのサンダース報道官が2月28日午後1時半(日本時間3時半)ごろ、「ドナルド・トランプ米国大統領と金正恩朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)国務委員長が2日間ハノイで生産的な交渉を行ったが、非核化と相応措置に対する異見により、今回の首脳会談で合意に至らなかった」と明らかにした。
さらに「両首脳はまた会い、今後も実務者協議を継続することを期待している」と伝えた。
日本で報道されている「事実上の決裂」は言い過ぎ!?
現地ハノイで取材をしていた筆者にとっても、意外な展開だった。
2月27日夜の第1回会談に続いて、ハノイのソフィテル・レジェンド・メトロポールホテルで会談は始まった。翌28日午前8時58分に始まった首脳会談での雰囲気は、進展を期待させるものだった。
約30分の「1対1」の首脳会談が終わり、9時40分ごろから閣僚らを交えた拡大会合を開始していたが、合意に至らず散会。予定されていた昼食会、合意文書の発表は取りやめとなった。両首脳は予定より2時間以上も早く、別々にホテルに戻った。
トランプ大統領は午後2時過ぎ、宿泊先のJWマリオットホテルでの記者会見で
「金正恩委員長との2日間の対話は非常に生産的だったが、席を立たなければならない時もある。今回がそれだった」「金委員長との関係は強く、維持したい」と述べ、協議を継続する意向を示した。会見に同席したポンペオ国務長官は「金正恩氏は準備不足で、我々が望む結果を導けなかった」と説明した。トランプ氏は早々と帰国の途に就いた。
日本では、合意文書が発表されなかったことで
「事実上の決裂」「情勢は不透明になった」(共同通信)などと報道されているが、トランプ氏は「金正恩委員長が核・ミサイル実験の中止継続を約束した」と強調しており、決裂というのは言い過ぎだろう。