夫婦を主従関係と思い込んでいる夫は捨てられる時代が来た
20数年間連れ添ってきたはずなのに、夫は、妻の気持ちを理解していない。別居し、弁護士から離婚の意思を突き付けられ、晴天の霹靂(へきれき)と思うようだ。他方、妻は、20数年間、我慢の連続で、辛かったエピソードが次から次へと出てくる。
多くの日本の夫婦がすれ違っていることは間違いない。なぜすれ違うのだろうか。筆者は、この連載「モラ夫バスターな日々」で、その理由を少しずつ明らかにしていくつもりだ。
まず、現在の結婚制度には重大な欠陥があることを指摘しなければならない。
厚生労働省の平成29年人口動態の年間推計によると、平成29年の推計値は、結婚60万7000件、離婚21万2000件である。同じ年の数値であるが、この2つの数値で離婚率を求めると約35%となる。
日本の夫婦のセックスレスは、2組に1組以上との調査もあり、離婚しない夫婦も、仮面夫婦化が進んでいることがうかがえる。なお、セックスレス=仮面夫婦ではないことは当然であるが、これから離婚しようとする夫婦の大多数は、数年以上セックスレスである。セックスレスの夫婦の多くが仮面夫婦と仮定してよいと思う。
さて、1/3の夫婦が離婚し、残る2/3の夫婦の半数が仮面夫婦であるとすると、結婚の2/3は、失敗していることになる。
2/3が失敗する制度には根本的な欠陥がある。これは間違いないだろう。すなわち、日本の結婚制度は失敗し、根本的欠陥を抱えているのだ。
日本の結婚はなぜ失敗するか。その根本的欠陥とは何か。先ほど述べたことが出発点である。妻は、我慢を重ね、辛い思いを日々積み重ねていく。他方、夫はそれに気が付かず(或いは軽視し)、妻の気持ちに配慮しない(できない)。
お互い好きあって結婚したはず。なぜこのようなことになるのか。
誤解を恐れずに言おう。多くの日本男性は、自らを家庭の主(あるじ)であり、支配者であると考えている。控えめに言うと、そう考えているとしか思えない振舞いをする男性が圧倒的に多い。他方、ここ2、30年、日本女性の意識は急速に変化しており、夫をともに連れ添い、一緒に家庭を築いていくパートナーと考えている。このギャップは深刻である。
【大貫憲介】
弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。著書に『
入管実務マニュアル』(現代人文社)、『
国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『
アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(
@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中