また、『
ガーディアン』は、この発言を次のように取り上げた。
“78歳(の麻生氏)は、メディアが彼の言葉を文脈から外したのであって、彼は単に出生率の低下が日本の経済的繁栄にもたらす脅威を強調したかっただけだと主張した。しかし、彼は「撤回し、今後は発言に注意したい」と加えた。(中略)専門家は出生率の低さにはいくつかの原因があるとし、育児費用の経済的負担、保育支援の欠如、悪名高い長時間労働などがそれに含まれている。麻生氏は、その傾向をカップル、特に女性の責任であるとしてきた保守政治家の一人だ”
うっかり放った言葉が自分の意図とは違った形で受け取られた……。本人はそう強調しているが、以前からそういった発言をしていることが、あらためて説明されている。
同記事では、昨年6月の二階俊博氏による「子供を産まない方が幸せだと勝手なこと考える人がいる」という発言や、同年4月の加藤寛治氏の「ぜひとも3人以上、子供を産み育ててほしい」発言、さらには‘07年の柳澤伯夫氏による「産む機械」発言も紹介されている。これらを振り返ると、決して「文脈から切り取られた」のではなく、「出生率が低いのは女性が悪い」という考え方を持った政治家が多いことがよくわかる。
さらに、こちらも日本ではすっかり忘れ去られているが、どう記事は麻生氏の過去の発言を引き合いに、以下の部分にも着目していた。
“同じスピーチで麻生氏は日本の驚くべき長寿を称えた。彼が生まれた40年代に比べ、30年ほど伸びているのだ。これは国の負担を減らすため、高齢者は「さっさと死ぬ」ことができるべきだという’13年の彼の発言とは対照的だ”
膨れ上がる医療費について、「死にたいと思っても生きられる。政府の金でやっていると思うと寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろと考えないと解決しない」と発言したのは、6年前。このときも「マスコミに揚げ足を取られた」と擁護する声があったが、懲りずに失言を垂れ流す様子を見ていると、本心が漏れてしまったようにしか思えない。
日本ではいつの間にか風化していく失言・暴言も、海外では積み上がり、悪名となっているのだ。