水道法改正の「不都合な真実」。民営化なしでも健全経営は達成できる
先の臨時国会で「審議時間の短さ」が大問題となった「改正入管法」と「改正水道法」。安倍政権の国会運営は問題だらけだが、意外にも改正水道法にはいいことも……!?
昨年12月6日、国会で改正水道法案が可決された。審議時間の短さなどで批判も多いが、一方、日本の水道が危機に瀕しているのも事実だ。
日本の1263の水道事業者(’16年度/自治体が多数)の多くが事業収入を減らしている。節水技術の発達(かつてトイレの流し水は一回20ℓだったが、今では4ℓ)や人口減で水使用量が減少。老朽化した水道施設の更新費用もかさむ。
となると、水道料金の値上げは避けがたい。昨年3月、「EY新日本有限責任監査法人」と「水の安全保障戦略機構事務局」が自治体ごとに’40年度の水道料金を推計したが、このままでは9割が’15年度比で平均36%上がる。最大の値上げ幅は福岡県みやこ町の約5倍だ。
法案では自治体単独では採算が取れない以上、ごみの収集・処分と同様に、複数の自治体での広域化を行うべしと謳った。だが、同時に水道事業の「官民連携」も打ち出され「民営化のノウハウを持つ外資が日本の水道を乗っ取り、水道料金が高騰する」と法案に反対の声も多かった。だが、水ジャーナリストの橋本淳司さんは語る。
「法律が謳う『官民連携』には、包括委託や第三セクター設立、そして水道施設を自治体が保有したままその運営を民間に任せる『コンセッション』などがあります。コンセッションでは世界の多くの地域で水道料金が高騰しましたが、国内外の民間企業がターゲットにするのは給水人口20万人以上の水道事業だけで、日本の給水人口の約3割。つまり、日本の多くの自治体は自分たちで水道事業の破綻を食い止める必要がある。それには、今後の人口動態を見据えたうえで、同じ流域にある複数の自治体と連携して広域化とダウンサイジング(施設の廃止や規模縮小)を進める必要があります」
現時点でも、民ではなく官が「適正な水道料金での運営」を実現した例はある。
推計では21年後に1か月で2万円の例も! どうする?
自治体主導で健全経営を達成した例も
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