IEは、Windowsへの同梱という戦略を採ることで、短期間のうちにシェア9割を超える覇権ブラウザへとのし上がった。しかし、新興のWebブラウザが台頭する中、評判を落としていった。それは、
バグが多かったことと、独自仕様が多かったことに原因がある。
まずは、バグの面から見ていこう。IEには
表示上のバグが多かった。それらを避けるために、無数のテクニックが考案されて共有された。そしてWebサイトを作る際には、標準的なコードを書くと共に、IEのバグにも対応する必要があった。
ブラウザ毎の挙動の違い、それもIEのバグへの対応は、無駄な作業を大量に産んだ。本来やるべきではない作業のために時間を使うのは不毛である。そうしたことの積み重ねが、開発者から嫌われる原因の1つになった。
独自仕様の面にも目を向けよう。一例として『Internet Explorer 3』の時に登場した、
ActiveX コントロールについて書く。この技術は、Webブラウザでページを表示するだけで、ローカルのアプリケーションのように動作するために利便性が高かった。そして、この機能を利用したWebページが多く作られた。
IEのシェアが9割を超えていた頃には、こうした独自仕様も問題はなかった。しかし、シェアが大きく落ちてきて、
セキュリティ意識が高い時代になると、問題が発生してきた。そして、Webページをアプリケーションのように扱える『
HTML5』が登場して以降は、古い技術になってしまった。
予算があるところでは、こうした新しい機能を利用したWebサイトに改修がおこなわれた。それは、HTML5を利用すれば、多くのWebブラウザで利用できる、より安全性を考慮したWebサイトが作れるからだ。しかし、改修予算のない公的機関のWebサイトや企業サイトなどでは、アップデートがおこなわれなかった。その結果、古いIEでの閲覧を求めるという状態になった。
そうしたサイトを「
仕事で使わなければならない」という理由で、既にサポートが打ち切られているIEやWindowsを使い続けている企業もある。サポートが切れた古いWebブラウザやOSは、セキュリティ的なバグが多くある。そうした環境で運用を続けるのは、
危険だと言わざるを得ない。