講演会参加者と握手を交わす鈴木直道夕張市長
統一地方選挙で唯一の与野党激突となった「北海道知事選(4月7日投開票)」の序盤から、公明党がフル稼働をしている。
与野党候補が出そろった直後の3連休(2月9日~11日)と2月17日に公明党は時局講演会を道内9か所で開催。自公推薦となった鈴木直道・夕張市長は地元夕張を皮切りに、札幌はもちろん道南の函館から道東の釧路を回って各地区の公明党道議と“そろい踏み講演”を繰り返した。「自公推薦候補というより、公明党公認候補のようだ」(地元記者)という声も出ていた。
菅義偉官房長官と佐藤浩・創価学会副会長のコンビが“暗躍”!?
2月11日、苫小牧での公明党時局講演会で講演をする鈴木直道夕張市長
11日の苫小牧での公明党時局講演会には800人が参加(主催者発表)。会場出口で講演を聞き終えた参加者が鈴木市長と握手をしながら「感動しました。応援をします!」と声をかけていく。その光景を見ていた創価学会の中村守・太平洋総県長に、筆者は疑問をぶつけてみた。
「(菅義偉官房長官と懇意の)佐藤浩・創価学会副会長ももう、だいぶ気合を入れているのですか」と聞くと、中村氏は「気合を入れています。そうですね。よくご存知なのですね」と答えた。
そこで「素早く公明党推薦が決まったのも、佐藤副会長の後押しがあったのでしょうか。佐藤副会長と菅官房長官の太いパイプが働いたのでしょうか?」と聞くと、「そうでしょうね。まあ公明党本部のさまざまな(世論)調査の中で答えが出たのでしょう」と言いながら、中村氏はこう強調した。
「公明党道議の選挙のためにもなるし、鈴木市長の推薦をしたほうが風になる!」
菅官房長官と佐藤副会長の名前を出したのは、道政ウォッチャーから「北海道知事選の候補者選定が官邸主導で鈴木市長に決まったが、その時に“公明党カード”が切られた。菅官房長官と佐藤副会長コンビが動いたとしか考えられない」と聞いていたからだ。
自公が合同選対を組むという“名護市長選方式”の産みの親である菅・佐藤コンビは、政権運営に影響を与えかねない重要な選挙に、必ずと言っていいほど関わってきた。昨年6月の新潟県知事選にも名護市長選方式を持ち込んで、自公推薦候補(現知事)が勝利。「森友・加計問題にまみれた安倍首相では参院選は戦えない」という党内の見方を一掃し、9月の総裁選3選に貢献した。
直後の沖縄県知事選でも両者は現地入りして自公はフル稼働をすることになったが、この時ばかりは玉城デニー知事に3連勝を阻まれた。重要選挙勝利で安倍自公政権を支えてきた中枢幹部コンビが、参院選の前哨戦である統一地方選の天王山で“暗躍”するのは当然といえるが、地元でも2人の関与を指摘する見方が有力になっていたのだ。