“凄腕販売員”が教える中国人観光客に爆買いを促すちょっとしたコツ
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2019.02.21
働き手の不足による企業の倒産は「人手不足倒産」とも呼ばれ社会問題化している。少子高齢化に伴う労働人口減少への対策として年齢や性別、国籍等に囚われずに仕事に取り組み、活躍の場を広げる労働環境の整備は日本経済の浮沈を左右する課題だろう。
総合人材サービスのパーソルホールディングスでは、そんな時代のニーズにも沿う形で“多様化する働き方を楽しむ人”を「グッドワーキスタ」として表彰する『PERSOL Work-Style AWARD~はたらいて、笑おう。~』を開催した。73歳のシニアYouTuber・成羽氏、男性社会の医療現場の変革に取り組んできた女性クリニック院長・種部恭子氏ら8名が表彰された。
中でも「国際部門」を受賞した紳士服大手「洋服の青山」の販売員・于萍(うへい)氏は異色の存在。中国出身の彼女が勤務する『洋服の青山』銀座本店は、2015年度には販売数約800着を記録し、パート社員ながら全店2位の快挙を達成した。産休を経て2018年より正社員として復職。同年12月までの売上実績も全店トップ3入りしているスーパー販売員だ。「爆買い」は一時の勢いは失ったものの、インバウンドをいかにビジネスに結びつけるかは、多くの業種にとっての課題。そこで彼女に中国人の心を掴む接客術を聞いた。
来日時は「自分が販売の仕事をするとは思っていませんでした」と笑う于萍氏。『洋服の青山』では2010年に千葉の店舗で働き始めたが、中国語と英語が堪能なことから見込まれ、3か月で中国人観光客が多い銀座本店に異動した。
「日本語や日本流の接客マナー、商品知識は働きながら学びました。『お客様が入店されたときに挨拶をすること』『お客様の細かな要望にもきちんと応えること』『裾上げの仕上がり日などの約束はきちんと守ること』といった接客は、日本では当たり前ですが、中国にはない考え方でした」
日本流の接客は中国人観光客には「丁寧」「誠実」として強く印象に残るようで、非常に好評だという。手ごたえを得た彼女は、さらなる“日本流のおもてなし”を接客に取り入れた。
「中国人のお客様は言葉の問題で行きたい場所への交通手段が分からずに困っていることが多いんです。接客中の会話で『家電製品を買いたい』『ドラッグストアに行きたい』『東京タワーを見てみたい』といった要望があれば、場所や行き方を教えられるように準備しています。銀座のお店のことを聞かれることも多いので、休日には自分でも歩いてリサーチしているんですよ」
もちろん販売点数を増やすための努力も欠かさない。団体ツアー客はお店の滞在時間も限られているが、「1時間で10人を採寸して皆様に買っていただくこともある」とスピード勝負の接客にも留意。また「中国人は値切りが大好き(笑)」とのことだが、まとめ買い等の場合には店長に掛け合って、できる限りの対応を行っているという。
「大事なのは試着していただくこと。『洋服の青山』の高品質ラインのスーツは、実際に着ていただければ品質の良さが伝わるので、試着までいけば購入していただけるケースが多い。また金融関係など一部の業種を除けば、中国人には日常でスーツを着る習慣があまりなく、ネクタイを結べない方も多いです。結び方もお伝えしながら、スーツに合わせたネクタイ、ワイシャツ、ベルトをコーディネートし、全身のアイテムをまとめて買っていただくことを意識しています」
于萍氏が働く『洋服の青山』銀座本店は、5フロア構成で2000着以上のスーツを多様なサイズで揃えているが、そのような大型スーツ店も中国にはない。そのため1人で40万円以上を爆買いする人やネクタイをお土産に大量購入していく人もいるそう。家電と同じく「スーツでも中国のお客さんは日本製が好き」だという。
「日本ブランドのスーツは中国ブランドよりも品質がよくて、しかも安いうえに接客もいい。買いたい人と思う人はたくさんいます。でも、買いたくても買えないケースも多いようです。実際にお客様から『ほかのスーツ店も見てみたい』と頼まれて、お店の場所をお伝えしたものの、『中国語を話せるスタッフがおらず買い物ができなかった』と戻ってきたこともありました」
『洋服の青山 銀座本店』ではすでに中国人のスタッフが4人いるそうだが、「外国人スタッフを採用している洋服店はまだ少ない印象です」と彼女。今後の日本では、介護、外食、建設などの分野を中心に外国人材の受け入れが拡大していく見込みだが、“日本流のおもてなし”を身に着けた外国人が販売業にも増えれば、インバウンド消費は再び大きくなっていくはずだ。
<取材・文/古澤誠一郎 撮影/難波雄史>
提供:パーソルホールディングス株式会社
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