銃を手に、カルテルとの闘いを強いられるメキシコのアボカド農家

白石和幸
avocado

FoodieFactor/pixabay

 世界のフルーツの中で最も栄養価の高いフルーツの一つとされているアボカド。 「Oro Verde (Green Gold)」と呼ばれているアボカドの生産量では世界の3割以上を生産しているのがメキシコである。2015年の統計によると、メキシコは年間147万トンを生産しており、二番目の生産国ドミニカ共和国の39万トンを大きく引き離している。その後にコロンビア、ペルー、インドネシアと続き、どの国もそれぞれ年間30万トン前後の生産をしている。(参照:「El Financiero」)  日本でもメキシコ産のアボカドの消費が伸びているが、何と言ってもメキシコ産のアボカドの最大輸入国は隣国の米国である。1998年から比較して輸出は4倍の伸びを見せているという。1998年に83年振りに米国への輸入が解禁となったのであるが、それまで輸入が禁止されていた理由は、表向き害虫がカリフォルニア産のアボカドに感染するのを避ける為だとされていたが、実際には米国のアボカド生産業者を保護するためであった。(参照:「El Pais」)  メキシコでのアボカドの4分の3を生産しているのがミチョアカン(Michoacán)州で、しかも唯一米国市場に輸出できるアボカドの生産地でもある。ハリスコ州も米国に輸出できるようになったかと思われたが、それと交換で米国製品の輸入をメキシコが受け入れなかったためにハリスコ州からの米国へのアボカドの輸出は出来ないままである。

殺害されたメキシコのアボカド農家の長男

 その一方で、ミチョアカンのアボカドの生産業者にも大きな苦労がある。  というのも、彼らアボカドの生産農家は、実は麻薬カルテルなどの恐喝という恐怖に常に晒されているのである。まさか、いま食卓で食べようとしているアボカドを作っている農家の人たちが、自営の防衛組織などを編成して銃も所持して麻薬組織カルテルからの恐喝などと戦ってアボカドを生産して輸出にいそしんでいるとは、メキシコ移民も多い米国ならともかく、日本の消費者には知る由もないであろう。  つい最近もアボカドの商いに長年携わっているアレハンドゥロ・ガルシアの26歳になる息子ガブリエルさんが自宅の前で殺害された。父親と一緒に仕事をした後、ミチョアカン州で新鮮な果物が集荷される本部から出た矢先にオートバイで近づいて来た二人の男が発砲した銃弾を受けて死亡したのである。この殺害に至った要因はカルテルに払うべき分け前を怠っていたということであろう。(参照:「El Pais」)  父親の説明によると、カルテルは最近また生産業者に対して執拗に分け前を要求するようになっているという。この分け前というのは、基本的に二つある。アボカドを栽培している土地に対して1ヘクタールあたりいくらの料金(2017年だと1ヘクタールあたり100ドル前後)という土地代と収穫に対してキロあたりいくらという料金(2017年だとキロ当たり10セント)をカルテルが決めて、それを生産業者に支払うように要求するわけである。その支払いを拒否すれば殺害されるか、家族が誘拐されるという結果を招くことになるのである。(参照:「Sin Embargo」)
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武装し、自衛組織で抗戦する農家
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