ミカンと原子力の街、愛媛県八幡浜市で行われた「使用済み核燃料貯蔵施設」のPA講演会

牧田寛
八幡浜市諏訪崎からの夕日

八幡浜市諏訪崎からの夕日 setsuna / PIXTA(ピクスタ)

ミカンと原子力の街、愛媛県八幡浜市

 去る2月6日、八幡浜市保内(ほない)町にて、「使用済燃料乾式貯蔵施設に関わる講演会」が八幡浜市主催で行われました。  幸い、ある市議さんのご高配で開催を知ることが出来、参加してきました。これは、原子炉設置公開ヒアリングなどのいわゆるPA(パブリック・アクセプタンス)事業(社会的受容性の意味。原子力発電所ほか発電施設、道路、鉄道などの公益設備、施設やワクチンなど、社会的影響の大きな事業について事前に市民、地域住民の合意を得ること。フランスがおおきく先行し、啓蒙主義的側面がある。日本ではおおきく劣化した独自の進化をしている)の一環とみられ、住民向けのものには初の参加となります。  八幡浜市は、佐田岬半島の南側根元にある港湾都市で、人口3万3000人弱(最盛期の4割程度)、主力産業はミカン農業(出荷額愛媛県内1位)と造船・食品などの工業です。また、九州と四国を結ぶ交通の要衝であり、カーフェリーの入港総数は年間延べ7000隻以上、同じく総トン数1800万トンとなっています(参照:八幡浜市統計書 本文)。  八幡浜市は、伊方発電所から直線で約10kmの距離にあり、核災害時には甚大な影響が予想されるだけで無く、一方が海、三方が山に囲まれ、脱出経路が容易に閉塞することが予想される核災害時脱出困難自治体といえます。現在、それを緩和する働きを持つ国直轄の大洲・八幡浜自動車道の大洲延伸工事が行われていますが、既着工区間では2年の建設遅延で、さらに八幡浜市と大洲市を隔てる夜昼峠を抜ける夜昼道路は、開通までに4年以上が予想されます。既存の国道197号線夜昼トンネルは、中央自動車道笹子トンネルと同じ天井板のあるかなり旧式化したトンネルです。八幡浜から大洲に出るには、旧道は極めて狭隘なためにこの国道197号線夜昼トンネルを通るほか無く、買い物のたびに少し怖いです。  現在、伊方発電所に関わる電源交付金は、伊方町が約18億円に対し、八幡浜市は約5000万円です。  八幡浜市の市内総生産は、控除、税を除き1125億円、うちミカンが80億円、原子力関連が同規模であり、ミカンと原子力関連が均衡をとっている状態です。  八幡浜市では、2015年に伊方発電所の再稼働賛否についての住民投票を求める直接請求の署名運動が起こり、法定署名数をおおきく超え、有権者数の1/3程度となる約1万筆弱の署名が集まりましたが、2016年1月28日市議会で否決され、伊方発電所は16年夏に再稼働した経緯があります(参照:住民投票を実現する八幡浜市民の会)。
次のページ 
使用済み核燃料乾式貯蔵とは?
1
2
3
関連記事