現実と比較すれば、あまりに美辞麗句で粉飾だらけの安倍首相施政方針演説

上辺だけの統計不正への詫びの言葉

 これから超高齢化社会に突入する日本ですが、介護にどんどん税金が注ぎ込まれていくことは確実です。そして、ここに注入される税金は止めるわけにはいきません。ただでもいろんなビジネスで人手不足に陥っているのに、労働条件の悪い介護士はもっと人手不足になり、どんどん介護が受けられなくなっていくことも予想されます。安倍政権は、これから迎える超高齢化社会にどのような対策を打っていくのでしょうか。 ※※※※※※※※※※※※※※※  少子高齢化、そして人生百年の時代にあって、我が国が誇る社会保障の在り方もまた大きく変わらなければならない。  お年寄りだけではなく、子どもたち、子育て世代、更には、現役世代まで、広く安心を支えていく。全世代型社会保障への転換を成し遂げなければなりません。  高齢化が急速に進む中で、家族の介護に、現役世代は大きな不安を抱いています。介護のために仕事を辞めなければならない、やりがいを諦めなければならないような社会はあってはなりません。現役世代の安心を確保するため、「介護離職ゼロ」を目指し、引き続き全力を尽くします。  2020年代初頭までに50万人分の介護の受け皿を整備します。ロボットを活用するなど現場の負担軽減を進めるとともに、10月からリーダー級職員の方々に月額最大8万円の処遇改善を行います。認知症対策の強化に向けて、夏までに新オレンジプランを改定します。認知症カフェを全市町村で展開するなど、認知症の御家族を持つ皆さんを、地域ぐるみで支え、その負担を軽減します。 ※※※※※※※※※※※※※※※  介護職のリーダーになると月8万円のボーナスが支給されるようになる。これは最悪の労働環境を作ります。  営業職のようなものはともかく、介護職のようなものに競争を持ち込んだ場合、組織がうまく回らず、ギスギスとしたパワハラのような環境が生まれることは間違いありません。というのも、介護する高齢者に優しく気持ち良い対応をする人を正確に評価する物差しがないので、ただポジショニングの良い人が評価されて、一生懸命頑張っている人に限って評価をされなくなるからです。  政府が介護職の競争を促進するなんて愚の骨頂であり、いかにも頭の悪い奴の考えることです。働く人たち全員のモチベーションを上げなければならない時に、競争を望むのであれば介護職なんてやっていないだろうに、そんなところに不必要な競争の原理を持ち込もうとしているのですから、これは介護職を壊す政策であると言わざるを得ません。 ※※※※※※※※※※※※※※※  勤労統計について、長年にわたり、不適切な調査が行われてきたことは、セーフティネットへの信頼を損なうものであり、国民の皆様にお詫び申し上げます。  雇用保険、労災保険などの過少給付について、できる限り速やかに、簡便な手続で、不足分をお支払いいたします。基幹統計について緊急に点検を行いましたが、引き続き、再発防止に全力を尽くすとともに、統計の信頼回復に向け、徹底した検証を行ってまいります。全世代型社会保障への転換とは、高齢者の皆さんへの福祉サービスを削減する、との意味では、全くありません。むしろ、高齢者の皆さんに引き続き安心してもらえることが大前提であります。65歳以上の皆さんにも御負担いただいている介護保険料について、年金収入が少ない方々を対象に、10月から負担額を3分の2に軽減します。年金生活者の方々に、新たに福祉給付金を年間最大6万円支給し、所得をしっかりと確保してまいります。 ※※※※※※※※※※※※※※※  勤労統計に不適切な調査があったことを国民の皆様にお詫びしているわけなのですが、どうしてお詫びをしているのかって、これは不適切な調査によって雇用保険や労災保険の給付が少なくなってしまったことにクレームがあったからです。  クレームのないものに関しては、今なお何の説明もしておらず、森友学園にしろ、加計学園にしろ、出すべき資料が出てこないばかりか、財務省の職員が自殺する事態に陥っているのに何の責任も取らないままです。  そんな人間が口先だけのお詫びと「信頼回復に向け、徹底した検証を行う」と言ってみたところで、これまでの検証すべきことが検証できていない人間に何ができるのだという話です。そもそもGDPのデータにすら疑惑の目が向けられている中、それを使って施政方針演説をしているのですから、期待するだけ無駄ではないでしょうか。 ※※※※※※※※※※※※※※※  こうした社会保障改革と同時に、その負担を次の世代へと先送りすることのないよう、2025年度のプライマリーバランス黒字化目標の実現に向け、財政健全化を進めます。  少子高齢化を克服し、全世代型社会保障制度を築き上げるために、消費税率の引上げによる安定的な財源がどうしても必要です。  十月からの十%への引上げについて、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。  8%への引上げ時の反省の上に、経済運営に万全を期してまいります。増税分の5分の4を借金返しに充てていた、消費税の使い道を見直し、2兆円規模を教育無償化などに振り向け、子育て世代に還元いたします。  軽減税率を導入するほか、プレミアム商品券の発行を通じて、所得の低い皆さんなどの負担を軽減します。同時に、来たるべき外国人観光客4000万人時代を見据え、全国各地の中小・小規模事業者の皆さんにキャッシュレス決済を普及させるため、思い切ったポイント還元を実施します。自動車や住宅への大幅減税を行い、しっかりと消費を下支えします。来年度予算では、頂いた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じ、景気の回復軌道を確かなものとすることで、「戦後最大のGDP600兆円」に向けて着実に歩みを進めてまいります。 ※※※※※※※※※※※※※※※  消費税に関しては、言いたいことがたくさんあります。消費税問題に関しては、後日、改めてじっくりと検証してまいりたいと思っておりますので、ご期待ください。なので、ここでツッコみたいのは「増税分の5分の4を借金返しに充てていた消費税の使い道を見直す」という話です。  消費税を上げる時には「全額を社会保障に使う」と言っていたはずなのに、別の使い方をしてしまった責任を取らず、そのまま総理大臣を続けているのですから、次もどうせ別のものに使うに決まっており、僕たちがいろんな楽しみを犠牲にして納めた税金を、海外でいい格好するためにばら撒くんじゃないということです。日本国民のために使うならまだしもロシアやアメリカみたいな国にばら撒いて笑っている奴に、ご理解もご協力もしたくありません。
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そろそろみんな気づき始めている
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