現実と比較すれば、あまりに美辞麗句で粉飾だらけの安倍首相施政方針演説

キラキラした言葉の背後にあるもの

 日本は今、深刻な労働者不足に悩まされています。そのため、外国から低賃金で働かせることができる労働者を受け入れることができるようにしたり、性別や世代不問で、さまざまな人を巻き込んで働いてもらおうとしています。一見、こう聞くと安倍晋三総理は、まるで誰もが活躍できる素敵な社会にしているように演出していますが、実際は、誰もが働かないと日本の企業が回っていかないのです。  今までは「男が外で働く分、女は家を守るのが仕事なんだ」と言ってきて、いまだに女性の社会での待遇は低いままなのに、都合がいい時だけ「一億総活躍社会」などというキラキラした言葉で粉飾してしまうのです。今の社会情勢や日本人のジェンダー観が変わらないままであれば、実質的には「女は家を守り、子供を育て、炊事洗濯家事全般をやり、外で働いて男を支えろ」と言っているのと変わりません。 ※※※※※※※※※※※※※※※  女性比率僅か3%の建設業界に、女性たちと共に飛び込んだ中小企業があります。  時短勤務の導入、託児所の設置などに積極的に取り組み、職人の三割は女性です。彼女たちが企画した健康に優しい塗料は、家庭用の人気商品となりました。女性でも使いやすい軽量の工具は、高齢の職人たちにも好んで使われるようになりました。この企業の売上げは、3年で2倍、急成長を遂げています。  女性の視点が加わることにより、女性たちが活躍することにより、日本の景色は一変する。  人口が減少する日本にあって、次なる成長の大きなエンジンです。女性活躍推進法を改正し、このうねりを全国津々浦々の中小企業にも広げます。十分な準備期間を設け、経営者の皆さんの負担の軽減を図りながら、女性の働きやすい環境づくりに取り組む中小企業を支援してまいります。パワハラ、セクハラの根絶に向け、社会が一丸となって取り組んでいかなければなりません。全ての事業者にパワハラ防止を義務付けます。セクハラの相談を理由とした不利益取扱いを禁止するほか、公益通報者保護に向けた取組を強化し、誰もが働きやすい職場づくりを進めてまいります。 ※※※※※※※※※※※※※※※  施政方針演説で「パワハラ防止を義務づける」とか「パワハラの根絶に取り組む」と言っている人が、沖縄の人たちに何をしているのかを見たら、こんなパワハラ野郎の言っている「パワハラ根絶」なんて嘘に決まっているということがよく分かると思います。 「パワハラの根絶に向けて社会が一丸となって取り組んでいかなければならない」と言うなら、みんなが安倍政権に対して「オマエ、何やってるんだ!」と言わなければなりません。しかも、安倍政権の場合は通報しても揉み消されておしまい。通報制度に意味はありません。 ※※※※※※※※※※※※※※※  働き方改革。いよいよ待ったなしであります。  この4月から、大企業では、三六協定でも超えてはならない、罰則付きの時間外労働規制が施行となります。  企業経営者の皆さん。改革の時は来ました。準備はよろしいでしょうか。長年続いてきた長時間労働の慣行を断ち切ることで、育児や介護など様々な事情を抱える皆さんが、その事情に応じて働くことができる。誰もがその能力を思う存分発揮できる社会に向かって、これからも、働き方改革を全力で推し進めてまいります。  障害者の皆さんにも、やりがいを感じながら、社会でその能力を発揮していただきたい。障害者雇用促進法を改正し、就労の拡大を更に進めます。人生百年時代の到来は、大きなチャンスです。元気で意欲ある高齢者の方々に、その経験や知恵を社会で発揮していただくことができれば、日本はまだまだ成長できる。生涯現役の社会に向かって、65歳まで継続雇用することとしている現行制度を見直し、70歳まで就労機会を確保できるよう、この夏までに計画を策定し、実行に移します。  この5年間、生産年齢人口が450万人減少する中にあっても、多くの女性や高齢者の皆さんが活躍することで、就業者は、逆に250万人増加いたしました。女性も男性も、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、全ての人に活躍の機会を作ることができれば、少子高齢化も必ずや克服できる。平成の、その先の時代に向かって、「一億総活躍社会」を、皆さん、共に、創り上げていこうではありませんか。 ※※※※※※※※※※※※※※※  このペースで行くと、僕たちより子供の世代は「生涯現役社会」みたいなキラキラしたものを掲げられて、介護が必要になるほどヨボヨボにならない限り、年金をもらうこともできなくなるのでしょう。そんなディストピアみたいな世界を「共に創り上げていこうではありませんか」だと認識しているのですが、参考までに、「~ではありませんか」という言葉のシメ方は安倍晋三総理が大嫌いな共産党のキメフレーズです。
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介護を歪めかねない愚策
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