ここまでは質疑の文字起こしの
信号無視話法による分析だったが、ここからは「
時間」に着目して、別の視点でも分析したい。
モチヅキ記者に対する、わずか5文字の回答は妥当だったのか。
この棒グラフは、5人の記者が1質問にかけた平均秒数、その回答に菅長官がかけた平均秒数だ。質問時間と回答時間の差分に着目すると、モチヅキ記者だけが-30秒という大幅なマイナス。他の4記者(37秒〜-4.5秒)の数値とは大きくかい離している。そもそも、回答時間が1秒しかなく、菅長官は答える気がないとしか考えられない。
さらに、モチヅキ記者だけは質問中に司会者から「質問は簡潔に」などと計3回も妨害されている。その妥当性は次の棒グラフで検証したい。
モチヅキ記者の質問にかけた
31秒は、確かに他の4記者(8秒~14秒)と比べると
倍以上も長い。
だが、モチヅキ記者が1回目の質問妨害を受けたのは、
質問開始から11秒頃のことである。
11秒以上質問しているオカムラ記者、チダ記者は全く妨害されていない以上、モチヅキ記者だけを狙って質問妨害していることは明らかだ。
本記事の分析を踏まえた上で、当日のモチヅキ記者の質疑を改めてご確認頂きたい。(動画の4分5秒~)
やはり、この記者会見は異常だ。
政権にとって不都合な質問を臆せずに繰り返すモチヅキ記者を排除するために質問を妨害し、その質問妨害について質問している最中にまた妨害し、その現場で菅長官は平然と「指示はありません」とうそぶく。
残念ながら、この状況はすぐには変わらないだろう。現に1年半以上も続いている。状況の改善に向けて、我々に出来ることは関心を失わないことだ。
幸い、官邸のホームページでは毎日の記者会見の映像を当日のうちに公開している。(参照:
首相官邸)
さらにはこの会見の映像をダイジェスト版にまとめて、ほぼ毎日Twitterで発信しているユーザもいる。
SHIN∞氏(twitterID:
@shin919infinity )
umekichi氏(twitterID:
@umekichkun )
記事を最後までお読み頂いた方はこの問題に関心を持ち続けて、状況を一緒に監視して頂きたい。
また、望月記者以外の記者の面々には、このような状況を変えるべく、ジャーナリストとしての矜持を持って報道に臨んでいただきたい。
<文・図版・動画作成/犬飼淳 TwitterID/
@jun21101016>
【犬飼淳氏】
サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。最近は「赤黄青で国会ウォッチ」と題して、Youtube動画で国会答弁の視覚化に取り組む。
犬飼淳氏の(
note)では数多くの答弁を「信号無視話法」などを駆使して視覚化している。また、同様にYouTubeチャンネル(
日本語版/
英語版)でも国会答弁の視覚化を行い、全世界に向けて発信している