ノーベル平和賞の元大統領に性的暴行疑惑、コスタリカで広がる#MeToo運動

足立力也
アリアス1

2002年の2期目に挑む大統領選挙で、支援者を前に演説するアリアス氏

 ノーベル平和賞を受賞した元コスタリカ大統領に性的暴行疑惑が浮上している。中米和平交渉の妥結に尽力したオスカル・アリアス・サンチェス氏だ。  驚きの初報がもたらされたのは、米国からだった。『ニューヨーク・タイムズ』(NYT)紙は2月5日、「コスタリカ元大統領、性的暴行で告発される」と題した記事を配信。  同紙によると、被害者は2014年の暮れにジュネーブで開かれるイベントに関する打ち合わせでアリアス氏宅を訪れた際、後ろから抱きつかれ、胸を触られるなどしたと告発した。アリアス氏は弁護士を通じて即座にこれを否定、「法廷で真実を明らかにする」という声明を出した。

次々と現れる告発者、広がる疑惑、加熱する報道

 国内紙『ラ・ナシオン』がNYT紙の報道を引用しつつ国内で記事を配信すると、次々と告発者が名乗りを上げる事態となった。ラ・ナシオン紙はこの件について独自に取材していて、告発者の名前は秘していた。しかしNYT紙では実名・写真入りで告発者のインタビューを詳細に報道。その後『ラ・ナシオン』紙も実名報道を行なった。  これに反応したのが、「私も被害に遭った」という女性たちだ。初報から48時間で合計5人の女性が名乗りを上げ、瞬く間に疑惑が広まった。告発者は人権活動家、平和団体職員、医者、出版関係者など多岐に及ぶ。  晩節を汚す形となった――と思ったら、「晩節」というわけでもなかった。新たな告発の中には、第1期アリアス政権(1986〜90年)のケースも含まれていたのだ。  国内で最初に報道したのは週刊誌ウニベルシダー。現地英字紙『ティコ・タイムス』は、アリアス氏自らの著書を編んだ女性編集者へのハラスメントを詳報した。『ラ・ナシオン』紙も独自に取材を進め、初報から2日後には告発者が5人にのぼっている。この勢いでは、今後まだ増えることも考えられる。
次のページ 
中米を戦火から救った「平和のアイコン」が……
1
2
4
5
関連記事
6
7