ジェンパクト株式会社代表取締役社長・田中淳一氏(左)とモチベーションファクター株式会社代表取締役社長・山口 博(右)
AIの伸展ともに、職場のオートメーション化は急速に進み、ロボットとともに仕事をすることは、他人事ではなくなってきた。人間はロボットを使いこなせるのか、それとも使われてしまうのか。今回は、日本RPA(Robotic Process Automation)協会専務理事であり、8万人以上の社員がグローバルでデジタルトランスフォーメーションを牽引しているジェンパクト株式会社の田中淳一氏に、本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口博氏が迫る。
山口 博氏(以下、山口):田中さんは、RPA(※Robotic Process Automation。ロボットによってホワイトカラーの単純な業務を自動化すること)を牽引するリーダーでいらっしゃいます。そもそもRPAとは、何なのでしょうか? そのまま訳しますと、ロボットに関する自動化されたプロセスを推進する組織のように思いますが。
田中淳一氏(以下、田中):RPAは業務を自動化するツールです。目に見えるロボットとは異なり、PCの中で活動します。僕たちはこれをデジタルレイバーとして労働者のひとつと考えており、当然ながら人と共存をしていきます。単純作業を実行するRPAと学習させて動かすAIを組み合わせ業務に使うと、労働のあり方が変わります。
山口:ロボットというと、ついPepperのように目に見えるロボットをイメージしてしまいますが、目に見えないAIやシステムを含めて考えると、すでに相当レベルの業務が急速に代替されていることを実感しますね。デジタルレイバーはどの程度普及していくのでしょうか。
田中:もうすでにかなりの勢いで浸透しています。僕達がRPAという言葉を使い始めた‘15年には想像もつかなかったのですが、ホワイトカラーの方はほぼすべての方が聞いたことがある言葉になっているのではないでしょうか。
その知名度に対して、実際に導入の進み具合は実はそれほどでもなく、大規模化されておらず小規模導入にとどまっている、というのが実情のようです。
山口:小規模導入にとどまっているのには、何か理由があるのでしょうか。
田中:RPAは運用にも手間がかかります。システムに比べると非常に軽いものですが、やはりある程度の手間がかかる。そのため業務を標準化してRPA化しやすくし、業務ボリュームを大きくしていかないと、対象範囲・対象業務が広がらないため大規模化していかない、というのが実情です。
今、そのために利用され始めているのが、プロセスマイニングです。これは、企業内を流通しているデータを読み込ませることで、情報の流れ・人も含めた処理スピードやそのボリュームを一気に可視化させることができます。可視化が短時間でできると、どの業務が問題でどこをRPA化していくと効果が高いか、ということが明確になります。
山口:メディアで「AIでなくなる仕事」特集を見かけることがよくありますが、それは絵空事ではなく、かなりの程度、私たちの仕事がなくなる可能性があるということでしょうか。