モチベーションファクター株式会社代表取締役社長・山口 博
山口:人をマネジメントすることと、ロボットをマネジメントすることと、田中さんはどちらが容易だと思いますか。
田中:容易かといわれるとロボットをマネジメントすることでしょうね。ロボットは決められたことしかしませんので。
山口:だとすると、ロボットに対するマネジメントスキルを高めてから、人に対するリーダーシップスキルを高めるというように、スキル向上の発展段階を捉えることができそうですね。
田中:ロボットに対するマネジメントはその業務をどのようにさせるか、プロセス・ルールの部分が中心ですよね。人に対するリーダーシップスキルはそれに加え、インターパーソナルスキル、どうやって人に動いてもらうかということが必要になります。ロボットは正論を言うだけで動きますが、人はそうではない。行動経済学でも実証されているように、人は合理性だけでは動かないですからね。
世の中は大きく変わり始めています。RPA/AIなどのデジタルの流れを血や肉としてきちんと企業内に取り込み、それを基盤としたビジネスに代わっていくことができるかどうかが日本および日本企業存続の課題です。
この波にのれた場合は、非常に明るく強い日本が待っていると信じています。その実現のためには20〜30代の若手ビジネスパーソンにけん引していただき、デジタルを活用した強い会社・強い国にしていきたいと思います。是非、一緒にやっていきましょう。
<対談を終えて>
「ロボットは正論を言うだけで動きますが、人はそうではない」ということは、全く同感です。ロボットを動かすには、トップダウンのリーダーシップだけで事足りるかもしれませんが、人を動かすには、ボトムアップの巻き込み型のリーダーシップが不可欠。RPA/AIという最も先進的仕組みを活用していくためには、私たち自身のスキルを高めるための泥臭い反復演習が不可欠なのです」(モチベーションファクター株式会社 山口 博)
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第122回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある