「軍隊の廃止」が生んだ経済効果。コスタリカは次なる課題「化石燃料の廃止」へ
2019.02.08
足立力也
「見捨てられた鉄軌道」の電化整備
1月末、コスタリカ共和国政府大統領府は公式ホームページで、カリブ海岸第一の都市であるリモンから内陸部に伸びる貨物電鉄軌道の敷設に関する技術的、経済的、財政的および環境的的影響調査事業の入札を発表した。
順調にいけば今年中に調査を終え、来年には国営鉄道公社(Incofer)による総額約4億5000万ドル(約500億円)のプロジェクトが開始されることになるという。
1991年に起きた大地震以降、国内にあった長距離鉄軌道は採算が合わず、ほぼ放置されてきた。カルロス・アルバラード政権があえてその軌道を電化して復活させるアナウンスをしたのは、昨年5月の同政権発足以来一貫した未来ビジョンの一環と考えられる。
それは、「化石燃料の使用廃止」だ。
しかもそれは、70年前に成し遂げられた「軍隊の廃止」の延長線上に位置付けられているのだ。
軍隊廃止から4世代。今の世代を生きる大人たちの責務とは
2018年12月1日の軍隊廃止記念式典で、まだ40歳にも満たない大統領は、軍隊廃止から現在までの70年をこう捉えてみせた。
「これは、コスタリカの4世代にわたって成し遂げられた事業です。
軍隊を廃止した第1世代。軍隊がない社会を生きた初めての世代である第2世代。軍隊がないことが伝統となった私たち第3世代。私の息子が第4世代に当たります。
この伝統を第4世代にどう引き継ぐかが、私たちに課せられた責務です」
そう前置きした後、70年前と未来を結ぶ現在の結節点として、クリスティアーナ・フィゲーレス・オルセン氏に「平和・民主主義功労賞」を贈ると発表した。軍隊廃止宣言を行なった“ドン・ぺぺ”ことホセ・フィゲーレス・フェレール氏の娘であり、国連気候変動枠組条約締結国会議の事務局長を2010年から6年間に渡って務めた、今世界で最も注目を集めるコスタリカ人の1人である。
ただし彼女が受賞したのは、立国の父である“ドン・ぺぺ”の娘だからではない。持続可能な開発と気候変動対策に尽力してきた功績と、脱炭素化という未来への橋をかけることへの期待に対して授けられたのだ。
その意味を、式典で流された本人のビデオ・メッセージから読み解いてみる。
ハッシュタグ
足立力也は、他にもこんな記事を書いています
分解スキル・反復演習が人生を変える
コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」
ネット世論操作と民主主義
現役愛人が説く経済学
ビジネスで使える心理術
石橋叩きのネット投資術
都市商業研究所
政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係
たまTSUKI物語
清水建二の微表情学
不動産執行人は見た
なんでこんなにアホなのか
橋本愛喜
「持続可能国家」コスタリカ
ニュース・レジスタンス
ガマンしない省エネ
越境厨師の肖像
金欠フリーライター、民泊を始める
安達 夕
月刊日本
栄光なき起業家たち
「ダメリーマン成り上がり道」
サラリーマン文化時評
2018年閣僚答弁プレイバック
ロボティア編集部
サラリーマンメンタリスト
炎上したくないのは、やまやまですが
民意をデフォルメする国会5重の壁
あのサラリーマン漫画をもう一度
老舗の智慧
一般人の知らない「クスリ」の事情
漫画で考えるミソジニー
「パレオな男」の快適ビジネスヘルスハック
闇株新聞
”アーチャリー”松本麗華の視線
ブラック化する日本企業への処方箋
石原壮一郎の【名言に訊け】
ファイナンシャルフィールド
一年以内に離島・孤島でサブスリー!
マッチョ社長の「筋トレで解決しない悩みはない!」
決算書で読み解く、ビジネスニュースの深層
アスリートのセカンドキャリア考察
草の根保守の蠢動
文系サラリーマンでもできる!iPhoneアプリ開発
仕事に効く時代小説
中学校武道必修化の是非を問う
江藤貴紀「ニュースの事情」
深読みビジネス書評
江川紹子の事件簿
税理士・道下知子の税金相談室
投資で稼ぐ力~男に依存しない力を身につける
現役財務官僚が語る日本財政の真実
香ばしい人々returns
農家の窓から
パーソナル戦略PR術
広告やメディアで人は動くのか会議