「1円で売られる家」のからくりとは? 投げ売り空き物件増加の裏事情
2019.02.07
温泉地や別荘地の100坪の土地に立つ一戸建てが、たったの1円で売買されている。そんな物件は地方ばかりと思いきや、首都圏にも現れはじめた。超格安で”一国一城の主”となる……そんな庶民の夢は叶うのか!?
総務省が’13年に実施した「住宅・土地統計調査」によると、全国の住宅総数6063万戸のうち、820万戸が空き家だという。この数字は多くのメディアで報じられているが、それから5年がたった現在は、さらに状況が加速。’18年6月に公表された野村総研のリポート「2030年の住宅市場と課題」では、空き家数はすでに1000万戸を超えているという。
このように年々、全国で空き家が増加傾向にあるなか、いまや一戸建てが数万円で売買されることも珍しくない。日本全国の激安物件を取り扱う横浜市の不動産会社「リライト」の田中裕治社長は、空き家物件が投げ売りされている現状について、こう語る。
「私が独立開業して最初に手がけた売却相談が、栃木県那須塩原市の温泉付き、200㎡の別荘地でした。もとは売主様700万円で購入された物件でしたが、いくら値段を下げても買い手がつかず、結局1年半後に5万円まで下げたところでようやく売れたんです」
さらに最近では1円で売られるケースもあるらしい。売り主側には、どんな事情があるのか。
「当社が過去に扱った1円物件の例としては、売主様が相続で取得した東伊豆の2階建て2DKの別荘です。温泉付き約330㎡の別荘地で、固定資産税の他にも、水道料金、温泉代など毎月2万3000円ほどかかっていました。そのため、『タダでもいいから早く手放したい』との売主様の希望で1円で売ることになりました」
1000万戸の住宅が空き家。不動産が“負動産”に!?
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