「1円で売られる家」のからくりとは? 投げ売り空き物件増加の裏事情

「死後、相続で迷惑をかける」苦肉の策が“1円売買”

 他にも、「死後、相続させる子供に迷惑をかけてしまう」という理由で、自分の代で処分したいと考える人も多いという。 「都市部では路線価をもとに、時価よりも安く相続税評価額がつけられますが、田舎では逆。相続税評価額が2000万円なのに、実際に売れるのは10万円なんてケースがザラです。だから相続が発生する前に格安で売却する意義は大いにあり、そうした物件は今後も大量に出てくるでしょう」  不動産を持っていることが負の遺産=“負動産”となってしまう状況であれば、1円物件が世に出るのも決して不思議ではない。もっとも、売買を仲介する不動産業者としては旨みはないという。 「そのような物件を売っても利益が出ませんし、当社も人助けとして手がけています。また、雨漏り、白アリなどの隠れた瑕疵があるケースも多いので、扱うには独特のノウハウや経験が必要です。だからあちこちの不動産屋で断られた末に、『どうにか売ってくれないか』と当社に相談をくださるオーナーさんばかりなんですよ」  かくして田中社長は、激安物件の売買仲介では日本有数の実績を誇るまでに至ったわけだが、そんな彼に、現在販売中(※)のお買い得物件を挙げてもらった。次に紹介する川口市430万円と長野市380万円の2軒である。1円物件に興奮した身には、若干キツめのプライスに見えてしまうが……。 「家が1円というのはインパクトが強くて問い合わせも多いため、すぐ売れてしまうんです。ただ、さまざまな税金のほか、リフォームも当然必要になりますので、東伊豆の1円物件も入居するまでに、諸費用が約200万円かかっています。だから激安物件を買う方は、DIYが得意な30~40代の独身男性が大半なんですよ。その点、川口市の一戸建ては諸費用が50万円、長野市の別荘も同じく15万円ほどと安く済みますし、即入居も可能です。本気でオススメです」  そんな田中社長は、47都道府県の激安物件を売り、日々地方に足を運んでいる。そのたびに空き家の増加を肌で感じるという。 「近い将来、不動産の100円ショップや、メルカリのように気軽に不動産が売買される時代がやってくるかもしれません」  高価な商品の代名詞だった不動産。所有することがステータスだった時代は終焉を迎えたのか。
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売り出されている激安一戸建ての例
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