「活用なくして保存なし」と公言する宮古島市教育委員会
柵から逃亡して植物園を自由きままに闊歩する元虐待馬
1月22~24日、馬事協会と日本中央競馬会(JRA)の馬事振興関係者による視察と、宮古馬保存会事務局(市教育委員会)との非公開での意見交換が行われた。
馬事協会とは、宮古馬保存会に助成金を出している公益社団法人。地元紙の報道によれば、馬事協会側は「宮古馬の活用幅を広げるためにも馬の『調教』に向けたソフト面の支援」(『宮古毎日新聞』1月25日付)を提案したという。
これに対して保存会会長の宮國教育長は、以下のように語っている。
「活用なくして保存はない。増やすことに目的をおくと限界がある。活用しながら増やしたい。観光などで活用しながら天然記念物としての位置付けを固めていきたい」(同紙1月23日付)
「保護と活用をテーマにした事業を進めていきたいと思っている」(同紙1月25日付)
その一方で、若手飼養者の狩俣大輔さんは「活用よりもまずは増やすことが大事」「宮古馬を残したいなら飼いやすい環境を行政がつくらないといけない」(同紙1月24日付)と述べている。
宮古馬を大切に保全していきたい飼養者と、馬事協会や保存会事務局(市)の間には意見に大きく違いがあるようだ。
まだ身体が汚れたままの、植物園の宮古馬
「宮古馬が天然記念物に指定されるということは、希少な動物であり、その地域の歴史を物語る重要なものであるということです。活用できるかどうかという条件をつけて保存を語るのはおかしい。そんなことに関係なく守らなければならない」と坂田さんは語る。
「宮古馬などほとんどの在来馬は、農耕馬や馬搬として人々とともに暮らしてきました。稀少な種であると同時に、馬と人の歴史的文化を守っていくことも天然記念物指定には含まれています。
トキやコウノトリが“活用”できなければ保全しない、なんてことはありえないですよね。まず保全ありきでないと。結果的に観光などの呼び水になるということはあると思いますが」(坂田)
伊藤保存会副会長は「仕事で使えば愛着もわくが、ただ飼うならば愛着がなくなるのかもしれない」(『宮古毎日新聞』1月23日付)と、これまでの劣悪な飼育の擁護ともとられかねない発言をしている。
これまで、宮古馬への愛情だけを支えに、大きな赤字を抱えながらも守り続けてきた飼養者もいるというのに……。