自民党安倍政権と統一教会。2016参院選、教団2世信者を使った策動<政界宗教汚染~安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第4回>

UNITEメンバーを直撃「ほとんどのメンバーが2世」

 同年6月12日、UNITEは全国21都市で一斉演説を行った。随時発信されるUNITEのFACEBOOKやツィッターの情報から東京・吉祥寺での街頭演説を取材した。  吉祥寺駅北口広場にいたのは、リクルートスーツに身を包んだUNITEの大学生メンバーの男女10数人と50人ほどの聴衆。『国際勝共産連合大学生遊説隊UNITE』と書かれた横断幕を背に甲高い声で演説を行う女性メンバー。聴衆の中には2世と思しき若い女性たちの他、普段、街頭で偽装勧誘に従事する青年勧誘員やビデオセンターの所長の姿も確認できた。聴衆の外側には教団西東京教区青年部の責任者を務める坂内(ばんない)杉並教会副教会長など教団関係者や勝共連合の職員数名が配置されていた。旧知の勧誘員に確認すると聴衆を含め全員が動員された信者だと認めた。坂内青年部長に確認すると「皆、自主的に来ている」と否定した。
2016.6.12吉祥寺街宣 UNITE演説B

吉祥寺駅前で街頭演説を行うUNITEと動員されたサクラ信者たち

 SEALDsと同様にスマートフォンの画面を見ながら演説するUNITEメンバー。しかしその演説内容は真逆で、演説口調もたどたどしい。拙い演説が終わるたび、聴衆のサクラ信者は一斉に拍手を送る。  2世だと答えた若い女性に手渡されたチラシには、大きくこう印字してあった。 『女子高生にもわかる憲法改正?』  明かな女性蔑視だ。  UNITEメンバーが演説を終えた後、国際勝共連合本隊の丸山遊説隊長がマイクを握った。 「このユナイトという組織は国際勝共連合の下部組織ではありません!東大の学生が中心となって国際勝共連合の理念を抱いて、それを多くの人に伝えたいと言って出来上がった自主的な独立組織なんです!その学生組織がユナイトです!そのユナイトがどんどんどんどん全国に拡がって、この吉祥寺でも本日、このように盛大に行うことができました!
2016.6.12吉祥寺街宣 UNITE演説G

「UNITEは自主独立組織」力説する国際勝共連合の丸山遊説隊長

 一斉に拍手する聴衆、丸山隊長は続ける。 「この火を絶やすことなく、日本共産党が無くなるまで、中国共産党が無くなるまで、共産主義者がこの地上から一人もいなくなるまで、皆さん共に頑張って参りましょう!」  演説場所の片づけを行うUNITEメンバー数人に2世信者ではないのかと尋ねたところ、不自然に否定する者や、無言で立ち去る者、明確な証言は得られなかったものの、翌週の取材で、決定的な証言を得ることになる。  翌週18日、練馬駅前で街頭演説の準備を行うUNITE IKEBUKUROの女性メンバーを直撃した。「UNITEは全員統一教会の2世?」と訊くと「みんなってわけじゃないんですけど、ほとんど」と、メンバーのほとんどが2世であると認めた。
2016.6.18練馬駅前街宣A

筆者の直撃取材に答えUNITEのほとんどが2世信者だと認める女性メンバー

 引率していた勝共連合職員に対し、UNITEの結成に自民党の意向が働いているのではないかと訊くと「自民党の意向とかそういうのはないです。有志でやらせていただいているので」と否定。そう答える勝共連合職員の後ろでUNITEメンバーが広げた横断幕にはこう書かれていた。 『~憲法改正支持!安倍政権を支えよう!~』
2016.6.18練馬駅前街宣C

安倍政権支持をアピールする横断幕

 UNITE結成の経緯を「みんなでがんばろうって学生が集まった感じですね」と話す職員。安倍政権への支持については「私たちにおいてやっぱりそれはハッキリとしておきたいなと。SEALDsが何でもかんでも反対という感じだったので」と答えた。SEALDsへの対抗意識は相当強いようだ。  3日後、参院選公示日前日の6月21日、2度目の全国一斉演説を行ったUNITEを高田馬場駅前で直撃した。  午後6時、同駅前に現れたのはスーツ姿のUNITE結成メンバー2人。  彼らに確認すると、UNITE全員が2世ではないとしながら一人ずつに訊くと「2世」であると正直に答えた。東大には教団の学生組織であるCARP(原理研究会)があり、この結成メンバーも東大CARP在籍だ。  丸山遊説隊長の挨拶の後に始まった結成メンバーの演説テーマは『野党共闘の誤り』  あどけなさの残る表情を引き締め、甲高い声で時おり涙ぐみながら共産主義の誤りと自民党への投票を訴えていた。
2016.6.21高田馬場街宣 UNITE演説E

街頭演説を行うUNITE結成メンバー、親族も応援に駆け付けていた

 この日、演説する予定だったUNITEの小村聡士代表は、何故か急に「学業のため」との理由で現れなかった。筆者が現れたと聞き、急きょ取りやめたようだ。
次のページ
「学生たちが自主的に立ち上げた」?
1
2
3
4
5
6
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会