追悼。元編集部員が語る『噂の真相』岡留安則さんの死

『噂の真相』休刊10周年に発売しようとした書籍

 筆者は『噂の真相』の元編集部員であり、2004年の休刊後はフリー編集者として岡留さんの出版物にもかかわってきた。冒頭の文面は2015年9月にやりとりした岡留さんからの最後のメールだ。版元の編集者宛でもあるので丁寧語になっているが、最後に沖縄をテーマにした本を出そうとしていた。  そもそもの企画は2013年8月、岡留さんの店「酒処 瓦屋別館」での会話からだ。店は夜9時に店が開き(毎晩、女のコが代わるシフト制)、10時前の「報道ステーション」が始まる時間に岡留さんがやってくる。岡留さんとの会話を楽しもうと当時は繁盛していて、リゾートにきた東京のマスコミ人から、地域のメディア関係者、左右問わずの論客や活動家も集まり、さながら新宿の飲み屋街・ゴールデン街のようだった。終電もないタクシー文化なので、三々五々で午前2時過ぎに閉店になることが多かっただろうか。 2013年岡留さん1208497_504236586320140_1876881577_n 知人の編集者とともに沖縄に訪問した私に岡留さんが持ちかけたのは、「これまでの単行本同様に自身がそれまでに書きとめた時論の原稿が一冊の分量になっており、そろそろ記事にできないか」という相談だった。  人がまばらになってきた午前1時過ぎ、岡留さんと出版社の編集者と3人で話をつめて作成した企画書は、2014年4月に『噂の真相』休刊10周年を記念した発売にすると決めた。内容は岡留さんの最近の時評をまとめたものと、あるタレントとの対談、そして、「10年経ったから明かそう、とっておきの『噂の真相』後日談」などを予定した充実の内容となった。  この企画書は出版社の会議も通過し、あとは岡留さんには原稿を書いてもらうだけだった。ところが……。このときから体調が悪化していたのだろう。原稿の早い岡留さんの筆がなぜか鈍い。2014年2月に岡留さんが上京する機会があり、六本木ヒルズで打ち合わせたのだが「確定申告がぜんぜん終わらない」と苦しそうにぼやくだけだったのだ。しかも、足をひきずりながら歩く痛々しい姿にも、本人はその理由を語ろうとしないのだ。
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政治的な対立や混乱に巻き込まれることも……
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