「俺が俺が」も「いいね」に振り回されるのももう終わり。これからは「自己中3.0」

自分がやりたいことを見極める方法

エリック:自分が本当にやりたいことを見極めるには、方法があります。いったいなぜそれをやりたいのかということを、繰り返し問いかけるのです。そうすると、親に勧められたからやりたいのか、周囲の評判がいいのでやりたいのか、自分自身でどうしてもやりたいのかということが見えてくる。  同時に、何でもいいから子供のころから今まで好きだったこと、夢中になったことを洗い出すんです。些細なことでもいい。そこに好きの芽があるかもしれない。子供は素直ですが、大人はそこに現実をぶつけて夢を壊していく。好きという感情をコントロールして自分の価値観に合わせようとしてしまうんです。

山口 博氏

山口:自分が本当にやりたいことがわかったとしても、それを実現していくことはたやすいことではありません。 エリック:たいへんな努力が必要です。そして、そのような泥臭い努力の積み重ねということが注視されず、ネガティブに捉えられてしまうのが残念です。努力する姿はかっこいいんです! 風潮に流されて、ソーシャルネットワークに影響を受けて、結果ばかりに目を向けるから、やりたいことが実現しないのです。  メディアやネットで簡単に人をディスり、出る杭を打って喜ぶ悪い風潮も、その人の努力ではなく結果ばかりに目がいってるからだと思います。イチローだって、水面下でたいへんな鍛錬をして夢を実現しているのです。結果だけではなく、結果を導いた努力にフォーカスし敬意を払うべきなんです。 山口:プロと言われる人たちのなかで、ビジネスパーソンだけがスキル訓練を忘れてしまっているように思えてなりません。努力を継続するために、いったい何が必要なのでしょうか。 エリック:学ぶこと、努力することをかっこいいと思うことにつきます。一流を極めた人が、泥臭く努力している姿を見せることが大事で、僕の学生にはロールモデルになる人に直に接してもらい、体感してもらうような機会をつくっています。ロールモデルとして、彼らには結果を導く努力の過程をきちんと話してもらうようにしています。そして失敗から学び、さらに努力し続ける姿勢を教えていただいています。 山口:理屈でああしろ、こうしろと言っても、頭ではわかるけれども行動で発揮することができないということが多いですからね。体感することがなによりだと思います。 エリック:一言で言うと、少しでも熱量の高い人と時間を共有していくことが大事だと言いたい。そして、他の人に対するリスペクトを忘れなければ、きっと成長することができる。他人をリスペクトし、そこから学び、成長することが熱量となって同じような熱量の高い人が集まってくる。  僕は、人生100年時代を楽しむために、常に尊敬できる人を見つけ、新しい目標を設定し努力を継続し、夢を実現していく。そしてまた新しい人に出会い……。そんな生き方をしていきたいと思っています。 <対談を終えて>  エリックさんが表現している「熱量」を高めていくために、自分のモチベーションファクター(意欲を高める要素)をとても重要になってくる。夢を実現するための鍛錬は、身につけたいスキルをパーツ分解し、コアスキルを反復演習することに尽きると私には思える。その意味で、エリックさんはこの連載のテーマである「分解スキル反復演習が人生を変える」ことを実現している一人なのだ。(モチベーションファクター株式会社 山口 博) 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第121回】 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある <撮影/山田耕司(本誌)>
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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