イラスト/いらすとや
1月30日、Yahoo!ニュースのトップに「パチンコ大手5社が依存症対策」の文字が躍った。昨年10月のギャンブル等依存症対策基本法の施行を受け、マルハン、ダイナム他、業界大手5社が、約320万人(厚労省推計)いると言われる、ギャンブル等依存問題の解決に向け協力していくという報道だ。
今回、依存問題対策で協力体制を表明した「業界大手5社」とは以下の通り。
マルハン:言わずと知れた全国チェーン。業界最高売上を誇る。319店舗。
ダイナム:業界最大店舗数を保有する全国チェーン。407店舗。
ひまわり:北海道・東北に展開する大手チェーン。37店舗。
ニラク :東北・関東に展開する大手チェーン。54店舗。
夢屋 :中部地区を中心に全国展開するチェーン。36店舗。
(※社名ではなく「屋号」表記、店舗数は各社HP調べ)
業界内では大手で名の通った有名ホールばかりだ。合わせて850店舗を超える。全国のパチンコホールのほとんどが加盟する全日遊連の加盟店舗数が2018年末時点で9237店舗であるから、今回の発表は、たとえ5社であれ、全体の9%程度になるため、パチンコ業界にとってはインパクトのある発表であった。
このニュースが、Yahoo!ニュースのトップに掲載されたことで、内外に様々な議論が沸き上がっている。業界関係者の中でも、パチンコ業界の最大の課題と言われている「依存問題」に企業や団体の枠を超え大手5社が集った事自体を評価する声もあれば、一方でただのいくら大手5社が組もうとも、実効性は期待できないという声も聞かれる。
Twitter等のSNSやネット上の「世間一般」の声は更に厳しい。そもそもパチンコ店の営業は、より依存問題を抱えやすいヘビーユーザーに傾倒しており、今回の発表は単なるポーズであるという批判も大きい。
パチンコ依存問題について詳しい、「ギャンブル依存症問題を考える会」代表の田中紀子氏もTwitterで、「なんの目新しさもない自画自賛対策。ずっと同じこと言ってるけど、全く効果でてない」(原文ママ)と辛辣だ。
ただ、これまでも何度か寄稿したが、パチンコ業界が、ギャンブル等依存問題対策をやっていない訳ではない。
ここ数年間、パチンコ業界においては、依存問題対策が一丁目一番の議論の的である。
遊技客やその家族が申請すれば、遊技時間や遊技金額を制限できる「自己申告・家族申告プログラム」の導入や、パチンコ店のスタッフが、ギャンブル依存症やパチンコ依存問題に対する見識や対応の知識を深めるための「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」(講習)制度の実施や、幼児乳児のホール駐車場における車内放置ゼロに向けた取り組み、パチンコ依存問題に特化した電話相談窓口(リカバリーサポート・ネットワーク)の周知等、かなりの時間と費用と労力をかけて取り組んできた。