が、こんな事は「世間一般の人たち」は知らない。
問題は、パチンコ業界が取り組んでいる依存問題対策の現状と課題を、正確に世の中に伝える事であり、今回の大手5社の、依存問題対策における協力体制の構築は、Yahoo!ニュースとして取り上げられた事も含め、「知ってもらうための初手」として十分に価値のある事だと評価できる。
しかし、「ニュースを見た人たち」も、パチンコ業界がどのように対策をするのか全く分からない。
それが現実でもある。
報道を見る限り、大手5社の具体的な依存問題対策は明示されていない。勿論、今後各社の担当者たちが何かしらの対策を講じていくのであろうが、例えば、このような事をすれば良いのではという提案をぜひしたい。
一つは、昨今話題にも上がった、パチンコ店内に設置されているATMの撤去である。(
HBO「パチンコ店内ATMに警察庁担当者も苦言。引き出し額制限機能も依存症対策に逆効果」参照)
仮にこの大手5社が、業界の懸念事項でもある店内ATMの撤去を率先して宣言しやるのであれば、業界内のみならず、世間一般にもより大きなインパクトを残せる。
この店内ATMの撤去は、今後政府内の関係者会議や、パチンコ業界の所管である警察庁でもより問題視されるのは明らかであり、「言われてやる」から「先んじてやる」への転換が、今後の業界のイメージ改善に繋がる。
例えば、現在もホールに設置されている「高射幸性遊技機」の優先的な撤去を進めるのも一手だ。
昨年2月、規則等改正によりパチンコ・パチスロ遊技機の射幸性が抑制された。規則が改正された後も、一定期間の設置猶予期間が設けられており、現在ホールには、新規則機と高射幸性遊技機(パチスロのみ)が混在している状況である。
パチンコ業界は、自主規制の一環として、この高射幸性遊技機の段階的撤去の目標を掲げてはいるが、ホールの営業収益と直接的に関わる部分であり、足並みを揃えるのが難しい状況でもある。
そこで大手5社が率先垂範で高射幸性遊技機を撤去すれば、それもまた依存問題解決に向け、強いリーダーシップを発揮したことになる。
最後の案は、現時点では実現性は乏しいが、大手5社の出資で、重度のパチンコ依存問題を抱える人たちを対象にした医療施設や回復施設を設置していくというもの。
これは大手5社だけがやるべき問題ではないし、今後は業界をあげて考えていくべき問題であるが、その実現に向けた舵取りを、この5社が担うのであれば、それは大手としての役割を十分に果たすことだとも思う。
なんにせよ、今回の大手5社による発表は、パチンコ業界にとっては大きな事であるが、「社員同士で勉強会をしました」程度の、竜頭蛇尾の「対策」だけは避けてほしいものだ。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>