水道事業、種子法、北方領土……。安倍政権が進めた政策から見えてきたもの

適菜収
shinzoabe

photo via Kremlin.ru(CC BY 4.0)

 この30年にわたり、構造改革による国の解体を急激に進めてきた連中がいる。  彼らは政治に寄生する形で、自分達の利権を確保してきた。そして思考停止した社会の中で、複数の宗教団体や外国の力を利用しながら、日本を乗っ取ってしまった。反日勢力、売国勢力がいつも同じ衣装をまとっているわけではない。連中もそれほどバカではない。それに気づかないのがネトウヨや自称「保守」という情弱である。

安倍政権がどうみても「売国」である理由

 すでにメッキの皮は剥がれているが、安倍晋三は保守ではなくて、構造改革論者のグローバリストである。2006年9月26日の第一次政権の総理就任演説では、小泉構造改革路線を「しっかり引き継ぎ」、「むしろ加速させる」と発言。  2013年7月には、シンガポールで「岩盤のように固まった規制を打ち破る」ために、自分は「ドリルの刃」になると述べ、「規制改革のショーケースとなる特区も、総理大臣である私自身が進み具合を監督する『国家戦略特区』として、強い政治力を用いて、進めます」と発言。  同年9月にはニューヨークのウォール街で、自分が規制緩和により、障壁を取り除くから、日本を買うなら今だと訴えた。  2014年1月の世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)では、徹底的に日本の権益を破壊すると宣言電力市場の完全自由化、医療の産業化、コメの減反の廃止、法人税率の引き下げ、雇用市場の改革、外国人労働者の受け入れ、会社法の改正などを並べ立て、「そのとき社会はあたかもリセット・ボタンを押したようになって、日本の景色は一変するでしょう」と言い放った。  この“ファミコン脳”の言葉通り、戦後わが国が積み上げてきたものは、わずか6年で完全にリセットされた。左翼も麻原彰晃も、安倍の足下にも及ばなかった。仕舞いには安倍は「我が国がTPPを承認すれば、保護主義の蔓延を食い止める力になる」などと言いだした。   外国勢力が放送を乗っ取るようにお膳立てしたのも安倍だった。放送法4条の撤廃を目指した放送制度改革で、安倍は、外資が放送局の株式を20%以上保有することを制限する規定の撤廃を目論んでいた。水道事業を売り飛ばそうとしたり、種子法廃止を押し通したり。ロシアにカネを貢いだ上、北方領土の主権を棚上げ、日韓基本条約を蒸し返して韓国に10億円を横流しした。「移民政策はとらない」と大嘘をつきながら、国の形を完全に変えてしまう移民政策を推し進めた。結果、日本はすでに世界第4位の移民大国になっている。  安倍がやっていることは、一昔前の「保守論壇」が厳しく非難してきたものばかりだ。  その妥当性はともかく、村山談話・河野談話を踏襲し、 憲法九条第一、二項を残しながら、第三項を新たに設け、自衛隊の存在を明記するという意味不明の加憲論により、改憲派が積み上げてきた議論を全部ぶち壊した。さらには、震災の被災者の方々に寄り添う天皇陛下のものまねをして、茶化して見せた。  安倍は、ポツダム宣言を受諾した経緯も、立憲主義も、総理大臣の権限もまったく理解しないまま、「新しい国」をつくるという。そもそも、「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」などという「保守」がいるはずがない。安倍信者の中では国益や国辱にこだわる時代も過ぎ去ったのだろうか?  国会でも外交の場でも安倍は平気な顔で嘘をつく。漢字も読めなければ、政治の基本もわからない。自衛隊の日報隠蔽、裁量労働制のデータ捏造、森友事件における公文書改竄……。政策立案などに使われる「基幹統計」もデタラメだった。 「消費や人口、学校など、いずれも私たちの生活と密接に関わる56の『基幹統計』のうち点検の結果、約4割にあたる22で間違いがあった」(「ロイター」1月25日)。  財務大臣の麻生太郎は「日本という国の信頼が、そういった小さなところから崩れていくのは避けなければいかん」と言っていたが、なにが「小さなところ」なのか?  要するに、国家の根幹がデタラメなのである。
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それでも支持する安倍信者は「保守」なのか?
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