微表情によって、その人物が未来に嘘をつくかどうかも判別できるという!
こんにちは。微表情研究家の清水建二です。本日は、2018年12月に発表された微表情に関する最新の研究知見をご紹介します。
その知見とは、微表情は未来のウソをも検知する、というものです。未来のウソとは何でしょうか。また未来のウソを見抜く微表情スキルが私たちの社会にどんなインパクトをもたらすのでしょうか。Matsumoto及びHwang(2018)の研究から読み解きます。
これまでの表情とウソとの関係を模索してきた様々な研究は、ウソに伴い生じる表情の諸特徴を発見してきました。その成果を一言で書けば、次の通りになります。
「ウソつきは、恐怖・嫌悪・軽蔑・罪悪感・幸福感情を抱き、その感情は抑制される。しかし、抑制しきれない感情が微表情として漏洩する」
そして、この抑制しきれない感情の痕跡である微表情は、0.04秒から0.2秒ほどの一瞬の間だけ顔に生じては消え去る現象である、と考えられてきました。
これに対して、最新の研究は「微表情は意図の真偽をも区別することが出来る。またこのときの微表情が0.4秒~0.5秒のとき、63%~68%の精度でその真偽を区別することが出来る。」ということを見出しました。
これまで微表情が対象としていたのは、過去の出来事に関する行為の真偽でした。一方、今回の研究が対象としているのは、意図、すなわちまだ行われていない未来の出来事に関する行為の真偽です。
簡単に本研究の実験プロセスを書きます。
実験参加者らは模擬犯罪(窃盗行為)を「行う」グループか「行わない」グループかに分けられます。それぞれの意図を持った状態で実験参加者らは、チェックポイントを通過します。
このチェックポイントで質問者にインタビューを受けます。「行う」に割り振られた実験参加者は「行わない」とウソをつき、「行わない」に割り振られた実験参加者は「行わない」と真実を話します。ウソつきはこのチェックポイントを通過出来なければ、次の段階で模擬犯罪行為を行えないという状況になります(なお、実験参加のモチベーションが高まるように、ウソがバレたり、冤罪になると罰が科され、自分の言動が信用されるとボーナスがもらえる設定が適切になされています)。
このチェックポイントでのウソつきと正直者の各微表情の有無及び継続時間が計測されました。その結果、0.4秒~0.5秒の微表情が生じたとき、63%~68%の精度で真偽を区別できることがわかったのです。