分断と対立とニヒリズム。沖縄に押し付けられた「基地以外」のもの
一方、県民投票を疑問視する声の中に、肯首せざるを得ないものもある。「賛成か反対かの二者択一を諮るのは乱暴だ」との声がそれだ。これは確かに正論ではあるし、私が「ありとあらゆる住民投票に反対」の立場なのもそこにある。だがしかし、そもそもこんな乱暴で稚拙な方法にさえ魅力を感じてしまうほどに、沖縄はこれまで、国側の乱暴な手法に蹂躙され続けてきたのもの事実だ。
こうして私の考えはぐるぐる回ってしまう。その度に「沖縄を語る難しさ」を痛感し頭を垂れるしかなくなる。
確かなことは、いま沖縄に、分断と対立と、そしてその結果当然生まれてしまうニヒルな無関心が蔓延していることだ。沖縄が押し付けられたものは基地だけではない。この不毛な光景をも本土は沖縄に押し付けてしまっている。
まずはそこを直視することから始めるしかない。分断と対立で荒む沖縄を前にし、本土に住む我々は、頭を垂れ、ひたすら傾聴に徹するしか、まずは方途はあるまい。
<取材・文/菅野完>
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。現在、週刊SPA!にて巻頭コラム「なんでこんなにアホなのか?」好評連載中。また、メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(https://sugano.shop)も注目されている
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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