イベリア航空の場合よりも複雑なのはライアン航空であろう。本社はEU加盟国のアイルランドにあるが、問題は現在の株主が英国を含めて60%になっているが、英国がEUから離脱すると、EUの株主だけでは40%ということで50%を満たさなくなる。それをどのようにして50%以上にするのかという調整が必要となる。(参照:「
El Espanol」)
イージージェットはヨーロッパ大陸で準備している支社が本社機能を備えた形で営業できる体制に成っている。現在の株主は英国を含め、EUの株主は84%であるが、英国が抜けると、その比率は49%に下がる。しかし、創業者のステリオス・ハジ・イオアマはEU加盟国キプロスの国籍ももっているので、50%を満たす株主の問題も解消される。(参照:「
La Vanguardia」)
果たして、英国はハードBrexitでEUから離脱するのであろうかという疑問に、参考になる意見としてロンドン在住のジャーナリストでスペインメディアの駐在員として活躍しているセリア・マサ氏が興味ある内容を指摘している。
曰く、“2年前に国民投票でBrexitが勝利はしたが、それは移民の入国をコントロールしたいが、EUの単一市場からの離脱ということにまで至ると考えて「離脱」に票を投じたのではないと多くの英国人は考えているはずである。それが理由で2回目の国民投票の実施に繋がるかもしれない。しかし、現在の流れは単一市場にできるだけ近い形でノルウェー方式の関税同盟を参考にして保守党と労働党の議員が検討している。それにはBrexitを支持しているマイケル・ゴーブ環境相らも支持している”。これが、彼女の指摘である。(参照:「
El Confidencial」、「
El Confidencial」)
英国人の間でもBrexitが及ぼす弊害の甚大さと複雑さに気づき始めているようだ。
<文/白石和幸 photo by
Iberia Airline via flickr (CC BY 2.0) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身