英「ハードBrexit」でスペインのイベリア航空がとばっちり。英EU離脱で混乱する欧州エアライン

白石和幸

photo by Iberia Airline via flickr (CC BY 2.0)

 英国のメイ首相が進めていた英国のEUからの離脱案が英国議会で1月16日、大差で否決された。そのことから3月29日に迫っているEUからの離脱が「合意なきハードBrexit」となる可能性が出て来ている。

イベリア航空がスペインを自由に飛べなくなる!?

 それを深刻に受け止めているひとつが英国航空とイベリア航空が経営統合しているインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)である。というのは、合意なきハードBrexitという事態になると、イベリア航空が自国スペインで自由に飛行できなくなるからである。唯一、マドリードとロンドン間またはバルセロナとマンチェスター間のフライトだけに限定されることになるという。  その理由というのは、英国の航空会社がEU航空区域(ECAA)を利用できる為にはヨーロッパ大陸に本社を移すこと、そして50%以上の株の持ち主がEU加盟国に属することというのが条件になっている。が、IAGの場合は50%以上の株主がEU加盟国に属していないのである。21.4%がカタール航空、18.6%が米国そして6%が英国のそれぞれ投資ファンド企業である。この3社だけで既に46%になる。  EUの規定に対して、IAGが指摘しているのはIAGの採決権の50.01%を所有しているのはGaranairである。Garanairはスペイン総合百貨店エル・コルテ・イングレス(El Corte Inglés)がその株100%を所有しているという理由から、イベリア航空はスペイン企業だという見解を表明しているのである。しかし、この見解を受け入れることにEU委員会は難色を示しているという。(参照:「El Pais」、「ABC」、「El Confidencial」)  もちろん、スペイン政府はハードBrexitになっても、イベリア航空がEU航空空域を飛行することは問題ないと主張している。それを補うべく、「イベリア航空はスペインの企業である」と振興省の報道官がロイター通信に語ったそうだ。  ただ、それが何を根拠にしているのかは明確にされていない。が、「必要とあらば、同社(イベリア)はEUの規定を満たすのに必要な調整は行うはずだ」と返答を付け加えたそうだ。  いずれにせよ、仮にハードBrexitが現実に起きれば、スペイン政府自体がイベリア航空に纏わる問題はEU委員会との交渉に委ねるようになるものと思われる。また、EU域内のフライト認可をするのはEU委員会ではなく、スペインの場合は振興省の航空安全委員会であるということから同航空安全委員会がイベリア航空を優遇する姿勢を見せれば、EU委員会から抗議して解決に時間を要するようになる可能性もある。(参照:「BGD ABOGADOS」)
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