ある所から取り、ない所や全体に配分するのが税のあるべき姿
事務所には亀井氏が描いた油絵が至る所に置かれている
――亀井さんは消費増税についてどうお考えですか。
亀井:こんな時に消費増税するのはバカですよ。今はね、ご承知のように取るべき財源がある。だって大企業は、500兆円の含み資産を持っているとも言われているでしょ。それをほったらかす手はないね。
そういう含み資産を放っておくというのはバカげた話で、そこから税金を取る方法を考えた方がいい。もともと、ある所から取って、ない所あるいは全体に使うというのが税のあるべき姿なんだ。大衆課税になるような消費増税をやる必要はない。やってはいかんですね。
――ということは、亀井さんは富裕層や大企業へ課税すべきだとお考えですか。
亀井:富裕層や大企業に資産が溜まっている場合はそこから取ればいい。アップアップしている時に取るんだったら、そこから取るのは無茶だけれども。大企業が500兆円以上の内部留保をしている状況ということは、懐が豊かだということ。それならそこから取ればいい。
中小零細企業から法人税を取る必要はない。アップアップしてる所からは取らないで、そうじゃない所から取ればいいということですよ。税の基本に戻らにゃいかんですね。
――所得税についてはいかがでしょうか。日本で最高税率を課せられているのは年間1億円を稼ぐ人で、それ以上稼ぐ人は、逆に税金がどんどん減ってきてしまうんですね。このような税制についてどう思われますか。
亀井:「こんなに収入があっても半分以上持っていかれる」と言って腹を立てる人がいるけれども、多くの税金を払えるというのは嬉しいと思わねばいかん。国家にそれだけ貢献しているということなんだから。
――小泉政権時代に所得税の最高税率が60%から45%に下がりましたが、それを再び上げるべきだとお考えでしょうか。
亀井:何%がいいかは別として、富裕層が自分の手元にたくさん残したってしょうがないわね。意味がない。個人でどこか財団とか福祉関係に寄付するとかそういう方法もあるけれども、税金で国全体として使ってもらうというのが、いちばんよい方法でしょう。
――「貧富の差が拡大している」と言われていますが、これはどのようにして解消すべきとお考えでしょうか。
亀井:簡単に言えば、今一生懸命働いている人たちの給料を上げることが重要だ。儲かっている企業から税金をとって全体に回すのも一つの手だけれども、企業が働いている人たちにもっと多くの給料を出せばいい。人件費などのコストを上げると競争力という問題が出てくるけれども、それはね、そういうものが商品にどれくらい転嫁されていくかというところが、経営者の腕の見せ所ですよ。