大型財政出動も公約に掲げてきたが、下院で過半数を失ったため実現は困難か 写真/AP/アフロ
時に起業スキャンダルを誰よりも深く掘り下げ、プロも驚くマクロ分析を披露してきた『闇株新聞』が休刊。今、新進気鋭のWebメディア『Day Code Times』が経済記者らの間で注目を浴びている同メディアが’19年の注目テーマを一刀両断!
米国経済 ’19年は利上げ圧力低下と財政リスクでドル売りへ
中間選挙を終えて、残り2年。後半戦に突入したトランプ政権を読み解くうえで、最も注目すべきは政権人事だ。下院で’10年以来初めて民主党に多数派政党の座を譲り渡した翌日には、セッションズ司法長官を解任。さらに、12月にはマティス国防長官とケリー首席補佐官が閣外に追いやられた。
セッションズは’16年の大統領選でトランプ大統領を支え、選挙期間中にロシアのセルゲイ・キスリャク駐米大使と会っていながら公表しなかったため、ロシアの選挙介入疑惑に関与したのではと疑惑の目を向けられてきた。“ロシア疑惑”を徹底的に捜査してきたモラー特別検察官は本来ならば司法長官の管轄下に入るべきところだが、ローゼンスタイン司法副長官(この人物も辞任予定とされている)の管轄下としてきたのは、セッションズがあらぬ疑惑をかけられぬよう捜査にタッチしようとしなかったため。この姿勢が、トランプ大統領の怒りを買っていたのは有名な話だが、短期間でクビにすれば「ロシア疑惑隠し」だと突かれる。
中間選挙が終わった直後というタイミングでの解任には、トランプ大統領なりの配慮があったと考えられる。
ただし、後任として司法長官に任命されたマシュー・ウィテカーはモラーの捜査を厳しく批判してきた人物なだけに、大統領の期待に応えようと捜査を抑え込む可能性もある。当然、民主党は警戒を強めている。すでにモラーの捜査は終わっているとされているので抑え込みようもないのだが、民主党を刺激する人事を平気で行ってしまうのが、今のトランプ政権。マティスとケリーが閣外に去った今、「調整役」不在の危うい政権となりかねない。