ジェンダーギャップ世界110位のこの国で女性議員が受けている仕打ち

村上さとこ議員

嫌がらせに悩む北九州市議会議員の村上さとこ氏

 世界経済フォーラムが発表している「世界ジェンダー・ギャップ報告書2018」で、日本は世界149か国中110位となりました。これは、男女が平等であるかどうかを見た時に、日本は世界の中でもまったく男女が平等ではない国だということです。これでも2017年は114位だったので、女性たちが立ち上がった「me too」の運動などもあって、少しだけランキングは上がりました。男性たちは、これでも最近は女性の地位が向上しているような気になっているかもしれませんが、実際はまったく向上していません。およそ先進国とは呼べないくらいに男女が平等ではないのです。

日本はどれくらい男女が平等ではないのか

 男女が平等ではない国と言われて、パッと思いつくのは中東の国々ではないでしょうか。女性は肌を露出してはいけなかったり、不倫をした女性が死刑になったり、およそ日本人の感覚では理解不能なほどに女性の行動が制限されています。それに比べれば日本はだいぶマシなので、日本はそんなに悪い国ではないはずだと思うかもしれません。  日本のお隣の国である韓国も「男尊女卑」が激しい国として有名です。そう、これらの国々に比べれば、日本はまだまだ男女が平等な方だろうと思うことでしょう。ところが、日本のランキングは110位、激しい男尊女卑で有名な韓国のランキングが115位なので、僕たちは韓国のことをまったく笑えません。もうちょっとで中東と並びます。

日本の女性議員が置かれている立場

 国会議員として活躍する女性の数という点で見ると、日本は世界149か国中130位となります。日本ほど女性が議員になっていない国は世界でもかなり珍しく、女性たちの気持ちがちっとも反映されない国になっています。  待機児童の問題がちっとも解消されない自治体はたくさんあるし、大々的に報道されるまで当たり前のようにつけられていた「妊婦加算」なる制度も、もう少し女性の議員が多ければ、「それはおかしいじゃないか」と指摘されていたはずです。道路やトンネルを作ることばかりに一生懸命で、人々の暮らしに根ざした女性の意見が採用されない。こうして日本は暮らしにくい国になりつつあるのです。
北九州市長選挙

北九州市長選挙

 1月27日には北九州市長選が行われますが、立候補しているのは見事に中年男性3名。この選挙の争点は、人口流出が激しく、高齢化が進み、経済的にも疲弊している街をどのように再生するのか。もともと民進党だった現職の市長は、地元に幅を利かせる麻生太郎副総理からイヤミを言われながら、自民党の推薦を受けているので「道路を作る」と言っていて、無所属のバナナカラーの会社社長の候補も道路には賛成。これに対して共産党のオジサンが「2000億円の道路は無駄」だと言っていて、最後には市長選なのに「安倍政権にノーと言いましょう」と言っているのです。オジサンたちはどいつもこいつも空気が読めません。  そんな北九州市で、数少ない女性議員として活躍しているのが村上さとこ議員です。
村上さとこ議員

村上さとこ議員

 今、村上さとこさんは見知らぬ人からの嫌がらせに悩んでいます。事の発端は、北九州市で前文部科学事務次官の前川喜平さんの講演会が行われた時に、村上さとこさんが司会をしたのです。イベントをスムーズに進行するのには司会の腕が問われます。この手のイベントでよくあるのが、そこらへんの素人が司会をしてしまったばっかりに、進行がグダグダになり、時に誰も聞いていない己の持論を語り出し、手作り感満載の自己満足イベントになってしまうこと。そうならないためには、ちゃんと空気を読んで司会進行ができる人を立てなければならないわけですが、そこで白羽の矢が立ったのが北九州市議として活躍している村上さとこ議員だったというわけです。  ところが、当時は前川喜平さんに対してネトウヨが大バッシングしていた時期。司会をしていたというだけで選挙事務所に電話がかかってきて、大真面目に「司会をした責任を取って辞めろ!」と説教する人たちが続出したのです。それまで無名の地方議員に過ぎなかった村上さとこさんが、ネトウヨの攻撃対象になった瞬間でした。  前川喜平さんの講演会を機に、ネトウヨから目をつけられるようになった村上さとこさん。事務所の周辺をうろつく人間が現れ、ブラジャーが届くようになりました。さらには化粧品や健康ドリンクなどの商品が代引きで届くようになり、これまで10件近くの代引き商品が届いており、今も続いています。
代引きで送られる下着類

嫌がらせで送りつけられる下着類

 女性であることもあって、商品を勝手に送りつける嫌がらせに加え、性的な嫌がらせまで受けているのです。村上さとこさんは「年齢的に、もうセクハラを受けることは無いかと思っていたけど、女性はいくつになってもセクハラを受けるんだと知った」と話していました。セクハラは若い女性だけが受けるものではなく、女性であればほぼ一生、被害を受けることになる。社民党の福島みずほ議員のところにも、かつて大量のコンドームが送られてきたことがあったそうです。つまり、この国では女性が国会議員や地方議員になると、性的な嫌がらせをたくさん受けるようになるということです。
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「モノ言う女性」を叩く社会の異常さ
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