英国のEU離脱によって、英国の大学・アカデミズムは危機的な状況に陥る

ケンブリッジ

ケンブリッジ大学

 3月に英国の欧州連合(EU)からの離脱が予定されているが、15日夜(日本時間16日早朝)には、欧州連合(EU)と合意したEU離脱案が英議会下院において反対多数で否決され、野党が内閣不信任案を提出するなど、「合意なき離脱」に混迷のまま突き進んでいるイギリスだが、いまこの事態を非常に憂慮している存在がある。  それは、英国の大学である。  その理由は、EUが設けている欧州研究会議(ERC)から大学の研究者を対象に助成金が支給されるが、英国がEUから離脱すればそれが受給できなくなるからである。同様に、EUの中に盛り込まれているマリー・スクウォドフスカ=キュリー・アクション(Marie Sklodowska-Curie)による支援プログラムも受けられなくなる。この2つの支援によって、この先2年間で英国の大学は13億ユーロ(1700億円)が支給される可能性が英国のEU離脱で消滅することになる。  同様に、英国のケンブリッジ大学、オックスフォード大学、ロンドン大学キングス・カレッジなど世界的レベルで認知度の高い24の公立大学で構成されているラッセル・グループ(Russel Group)の調査でも、研究プロジェクトに取り組もうとするEU加盟国からの大学院生の入学申請者がこの2年間連続して9%減少しているという結果が出ているというのである。(参照:「El Pais」)

EU離脱は、EU加盟国出身学生の減少に直結

 これまで英国の大学は国際的に研究開発のレベルが高いことが認知されており、それを享受できることを期待して世界から多くの学生が英国で学んでいる。例えば、EU加盟国の出身で英国の大学で修学している学生の数は10万4875人。その内の7185人がスペイン人だ。近年、英国出身の大学生が減少している一方で、EUからの学生が英国で修学していることによってその減少分を補っている。また、前述のEUからの助成金もこれまで英国の大学に付与されて来た。  例えば、芸術と人文学では世界5位にランキングされているロンドン大学で歴史芸術のマスターコースを修学しているスペイン人パブロ・オルティッツ・サラテさんは入学金として英国人と同額の10440ポンド(145万円)を支払ったそうだが、EU圏外からの学生の場合は21790ポンド(300万円)という2倍の支払いになっていたという。これが科学や医学などになると双方の差額は3倍になるそうだ。(参照:「Publico」)  英国の大学でEU加盟国の学生が英国出身の学生と同じ条件で修学できるのも英国の大学がEUからの助成金があるからである。英国が一旦EUから離脱すれば、英国はEUからの助成金が受けられなくなる。よって、EU諸国からの学生の入学金は英国人のそれと同額での入学はできなくなるはずである。即ち、それはEU諸国からの学生の減少につながる可能性がある。英国がEUから離脱すれば、英国で学ぼうとするEU加盟国からの大学生は6割減少することになると英国の大学では見ているそうだ。
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在英研究者にも大きなデメリットが……
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