フランス検察の捜査は組織委員会会長の森喜朗・元首相にも及ぶ!?
筆者は会見後、フランスAFP通信社の女性記者にインタビューした。その記者はこう語る。
「今回の事件は、3年前から緻密な捜査がされてきました。カルロス=ゴーン会長逮捕への報復だという陰謀論が飛び交っていますが、関係ないでしょう。竹田恒和JOC会長はいま予備審問を受けています。これはフランス特有の制度ですが、予備審問を受けると、8割は起訴されることになります。
コンサルティング会社への送金は東京五輪招致のため、アフリカ票を買う目的だったと推察されます。アフリカ大陸の多くの国はフランスの旧植民地ですから、捜査もかなり進んでいるでしょう。
ただ、フランスは日本と違って「推定無罪法」があるため、被疑者を悪人に仕立てるために、警察・検察が捜査情報をリークすることはありません。何が問題になっているのかを知るのは、聴取を受けた竹田会長だけです。
そのため私も質問を準備していましたが、何も答えなかったのは残念です。問題になっているのは招致委員会ですから、オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗・元首相に捜査が飛び火することも十分にあり得ます」
東京五輪2020は「ダーティーマネー」で買われた忌まわしきものだったのかどうか。フランス検察による今後の捜査が注目される。
<及川健二(日仏共同テレビ局France10日本支局長)>