事実誤認の「サンゴ移植」発言があったと指摘されている安倍首相。いまだ訂正も説明もしていない
1月6日のNHK「日曜討論」で安倍首相は、辺野古への土砂投入映像が流れたのを受けて「サンゴを移しております。絶滅危惧種は砂をさらって別の浜に移していくという、環境の負担をなるべく抑える努力をしながら(工事を)行っている」と訴えた。しかし実際は、土砂投入エリア内でのサンゴ移植実績はゼロ。環境配慮の姿勢をアピールするも「実態が伴っていない」と批判が起きている。
菅官房長官は「首相の事実誤認」を「まったく問題はありません」
放送法第三条二にある「報道は事実をまげないですること」に違反するプロパガンダ(政治的宣伝)であるのは一目瞭然だが、菅義偉官房長官は訂正も謝罪もしていない。放送2日後の1月8日、『東京新聞』の望月衣塑子記者の質問に対して菅官房長官は次のように答えた。
望月記者:辺野古海域でのサンゴの移植についてお聞きします。首相は6日のテレビ番組で土砂投入に当たって、「あそこのサンゴは移植している」と述べられましたが、土砂投入されている辺野古側の海域、埋め立て区域2の1からはサンゴは移植していないとして、一部報道は「首相は事実を誤認して発言した」と報じました。政府の現在のサンゴ移植の現状認識を改めてお聞かせ下さい。
菅官房長官:環境監視等委員会の指導や助言を受けながら適切に対応しているということでありますから、まったく問題はありません。
辺野古土砂投入で危機が迫る大浦湾のサンゴ群落。赤土が混入した土砂の投入で、周辺海域の環境に大打撃を与えるリスクが増大
ここで望月氏が引き合いに出した「一部報道」とは、1月8日付の『琉球新報』。「首相が『あそこのサンゴは移植』と発言したが…実際は土砂投入海域の移植はゼロ」という見出しで、安倍首相の発言をこう紹介した。
「安倍晋三首相は6日に放送されたNHKのテレビ番組『日曜討論』で事実を誤認して発言した。安倍首相は『土砂投入に当たって、あそこのサンゴは移植している』と述べたが、現在土砂が投入されている辺野古側の海域『埋め立て区域2-1』からサンゴは移植していない」
「首相は『砂浜の絶滅危惧種は砂をさらって別の浜に移す』とも発言した。沖縄防衛局の事業で、貝類や甲殻類を手で採捕して移した事例はあるものの、『砂をさらって』別の浜に移す事業は実施していない」
土砂を投入している埋立エリアでのサンゴ移植も、絶滅危惧種の“砂ごと移植”も、実際には行われていないというのに、菅官房長官は「まったく問題はありません」と答えたのだ。当然、望月氏は再質問をした。
望月記者:報道では「埋め立て海域全体では7万4000群体の移植が必要だが、移植が終わったのは別海域の9群体のみにとどまる」としております。玉城知事は昨日、ツイッタ―上で「総理、それは誰からのレクチャーですか。現実はそうなっていません。だから私たちは問題を提起している」と反論されました。事実の誤認ないし説明不足である場合は、改めて政府として見解を出すつもりはないのでしょうか。
菅官房長官:「報道によれば」に答えることは政府としてはいたしません。どうぞ、報道に問い合わせをしてほしいと思います。